2009年03月02日

小児科だより03月号(No109/2009/03)

プレゼント今月の記事
◆予防接種の役割を考えてみましょう
◆地域ではやっている病気

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◆予防接種の役割を考えてみましょう
予防接種にはたくさんの種類がありますね。
小さいお子さんをお持ちの親御さんは、何を優先して、いつ接種しようかと、関心も高いことと思います。
子どもばかりでなく、インフルエンザも多くの方が予防接種を受けるようになりました。
ここで改めて、予防接種は何のためにあるのか?を考えてみましょう。

<予防接種で防ぐ病気の種類>
予防接種で予防する病気を、かかる頻度、病気の重症度から3つに分類してみます。

1)何度もかかる病気:インフルエンザ

2)一生に1度はかかる病気:麻疹、風疹、百日咳、おたふくかぜ、水痘

3)めったにかからないけれどかかると重い病気:   結核、ポリオ、破傷風、ジフテリア、日本脳炎、ヘモフィルスB型菌(ヒブ)、B型肝炎、コレラ、狂犬病など

 かかる頻度が高い順番:1>2>3
 かかると重大な結果になる順番:1<2<3

これはちょうど逆の関係になります。
めったにかからない病気ほど、かかると重大な結果になる可能性が高いのですね。
1)〜3)それぞれについて以下にご説明しましょう。

<予防接種で何を防ぐのか>        
1)何度もかかる病気
インフルエンザは重症になることは少ないですが、そのかわりかかることが多いので、予防は役に立ちます。
インフルエンザ予防接種は他の予防接種ほど強くはなくかかることがありますが、重くなるのを防ぎます。

2)一生に1度はかかる病気
予防接種をしないと一生に1度はかかる可能性が高い病気です。

麻疹は
1000人に1人程度死ぬことがあり、風疹は妊娠中にかかると流産や奇形の危険があります。
百日咳は
かなり頻度の高い病気で、一生に何度もかかる可能性があり、新生児がかかると命にかかわることがあります。
水痘は
1度かかると一生水痘ウィルスが身体に残って、4人に1人が非常に頑固な痛みをおこす帯状疱疹にかかります。
おたふくかぜは
数百人に1人程度難聴になることがあり、なると治りません。

3)めったにかからないけれどかかると重い病気
個人レベルで考えれば、予防接種を受けなくても一生かからない可能性が高い病気です。
しかしどの病気もかかると重大な結果になります。
最近日本でも自費接種が始まったヘモフィルスB型菌(ヒブ)は、実は軽くかかることも多い病気ですが、乳幼児の場合まれに重症の感染である髄膜炎や喉頭蓋炎となり命にかかわったり後遺症を残すことがあります。

<めったにない病気の予防接種を受けるのはなぜ?>
何度もかかる病気や一生に1度はかかる病気の場合、1人1人が実際に病原体に接触することがあり得ますので、予防接種で感染を防ぐことに役立ちます。
しかしめったにかからない病気の場合は、予防接種を受けなくても感染をしないで済むことが多いですから、予防接種が「実際に」役に立つ機会がないことが多いでしょう。

では何のためにめったにかからない病気の予防接種を受ける必要があるのか、このことを含め以下で予防接種の役割について考えてみましょう。

<予防接種の3つの役割> 
1)個人の予防
1人1人が実際に感染しないための予防で、何度もかかる病気や一生に1度はかかる病気の場合で、個人の利益にかなったものです。

2)集団の予防
集団全体としてかかる病気の人や重症になる割合を減らすための予防で、3つの種類の病気全てに当てはまりますが、特に、めったにかからないがかかると重症になる病気に当てはまります。
このような病気は1人1人がかかる可能性は低いので、個人の利益としては実感されません。しかし集団ではかならず一定割合の人がかかって重症になりますので、実際に集団の利益になります。
皆さんも集団に属していますので、間接的に利益を受けることになります。さらに集団予防は病気にかかる割合(罹患率)を減らしますので、実際に皆さん1人1人が病気にかかる割合も減らします。

3)「保険」
火災保険や自動車保険に入るのと同じで、実際に被害に遭う割合は低いですが、入っておくと安心が得られる仕組みです。シートベルトに例えてもよいでしょう。
めったに遭わない交通事故に備えておくのは、けして無駄なことではありません。この考え方は特にめったにかからない病気に当てはまります。
また日本で流行していなくても、海外では流行していたり、地球温暖化で状況が変わる場合もあり、将来への備えという意味あいもあります。

我々医療従事者は、重大な病気にかかった例を実際に経験し知っているので、決して他人事ではないと実感しています。任意接種も含めて一通り予防接種を受けられることをお勧めいたします。

◆地域ではやっている病気
1月下旬にいったんピークを越したインフルエンザの流行ですが、この地域ではその後再び増加傾向になり2月末現在、連日多くの患者さんが来院され、学級・学年閉鎖もまだ続いています。(左図中の折れ線グラフ)1月は9割がA型でしたが現在は逆転し、ほとんどがB型です。B型は、感染力がA型ほどではなく、症状も比較的ゆるやかです。
3月に入って、そろそろこの状況も落ち着くでしょう。その後は、水痘や溶連菌感染症が増えてくるのが例年のパターンです。

◆ちび鉛筆
ご卒園ご卒業おめでとうございます/1日1日は少しずつですが/それぞれの階段を登っている子どもたち/新しい景色の見える春ですね(T)

posted by kuyama at 08:55| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする