2009年09月01日

小児科だより09月号(No115/2009/09)

プレゼント今月の記事
◆豚(新型)インフルエンザ
 〜大流行に備えて
◆地域ではやっている病気


◆豚(新型)インフルエンザ
 〜大流行に備えて

新学期に入って学校や園での集団流行が予想されます。
今後の対策と当院の対応について、8月下旬現在わかっている範囲でお伝えいたします。(状況により、変わる可能性があります)

<流行の規模はどれくらい?>
厚生労働省からは国民の20%程度がかかるとの予測が発表されました。
このたびの新型インフルエンザは、たとえ発症した人を隔離できたとしても、軽症で未治療の患者が(自分でも気づかずに)感染を広げるため、大きな流行を防ぐのは不可能です。
現在は、流行をやむをえないこととして、患者の増加が医療機関などの社会の対応限界を越えないように、ピークをなだらかなものにすることをめざしています。

<ワクチンは受けられるの?薬は十分あるの?>
ワクチンについては、希望者全員にゆきわたる量の国内生産は不可能です。
そこで国は優先順位をつけて行うこととし、現在検討が続けられています。しかし、すでに流行は本格化しており、そのピークは10月とも伝えられていますので、今回の流行の波には間に合いそうにありません。
一方、抗インフルエンザ薬については、国は十分な備蓄ができたとしています。

<検査、治療についての様々な見解>
専門家の間でも意見が統一されていないことがあります。例えば・・

・検査に関して
できるだけ検査を行って判定するのが国の方針です。
しかし、検査は発症からの時間、感染の程度、検査キットや手技によってかなり感度の差が出てしまいます。
アメリカの専門機関では、検査の正確さは40〜69%にすぎず、症状や流行状況からの診断の方が正確なことがあると述べています。検査での判定は限界があります。
また、検査キットも数に限りがあり、なくなれば、診察
だけで診断するしかありません。

・治療に関して
抗インフルエンザ薬は、脳症や重症呼吸器感染を防ぐために全例使うべきという意見、タミフルの副作用が心配される1歳未満、10代、妊婦には使用しないという意見(アメリカでは、奇形の報告はないとして、妊婦にタミフルを使うことを勧めています)、耐性ウイルスによって重症者に使えなくなることを考え、原則として使うべきではないという意見。
世界のタミフルの75%が日本で消費されていますが、ほとんどの健康な人は、治療なしでも自然に治ります。薬の使用について統一見解はなく、実際にはこれらをふまえ、ご相談して決めることになります。

<(現時点での)当院の方針>
検査は、症状、流行状況、検査キットの流通状況により判断して行います。流行規模が大きくなれば、症状による診断が中心となります。
1歳未満、10代の方にタミフルを使用する場合はご説明の上同意書にご署名をいただきます。
治療法はいくつかありますので、ご相談して決めます。
使用する薬は、抗インフルエンザ薬(リレンザ、タミフル)の他、漢方薬があります。
漢方薬についてはあまり知られていませんので、次に詳しくご説明します。

<漢方薬の処方について>
漢方薬は、耐性ウイルスをつくることなく、抗ウイルス薬に近い効果が期待できるので、当院では以前より使用しています。新型の治療にあたっても、積極的に使っていきたいと考えています。
ウイルスを直接たたくのではなく、免疫力を高めることによって重症化を防ぎ、回復を早める効果があります。
麻黄湯、補中益気湯、小柴胡湯など何種類かがあり、病状や病期、体質などによって使い分けをします。
小さいお子さんには飲みにくいかもしれませんが、ココアやサイダーなどと一緒に飲むとよいようです。

今シーズンは季節性も含め、予測がつかないことが多くあります。最新の情報をもとに、変更があればHPや院内掲示などですみやかにお知らせしてまいります。
また、患者さんにもご協力をお願いすることがあるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

◆地域ではやっている病気
当初目立った夏のウイルスの病気は、8月に入って少なくなりました。9月1日現在発熱のほとんどは夏カゼですが、インフルエンザも徐々に出ています。
現在は、集団感染のケースを除き、保健所での遺伝子検査は行われなくなっていますが、状況から新型インフルエンザと考えられます。秋頃からという当初の予想に比べて、早い流行を迎えています。
「感染予防の基本」を一人一人が守り、恐れすぎず侮らず、これを乗り越えていきたいものです。

◆ちび鉛筆
歴史的な政権交代や新型インフルエンザ/慌ただしく落ち着かない気分の中/新しい学期が始まりました/体調を整え病気に負けない気持ちで/園学校生活を楽しんで下さいね/私たちは8月末研修に行かせて頂きました/リフレッシュし新しい知識や技術を得ましたので/今後の診療に生かしてまいります(T)
posted by kuyama at 19:05| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする