2009年10月01日

小児科だより10月号(No116/2009/10)

プレゼント今月の記事
◆豚(新型)インフルエンザへの対応
 〜治療方針について
◆地域ではやっている病気
◆インフルエンザ予防接種について

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◆豚(新型)インフルエンザへの対応
 〜治療方針について

個人の心がけや早期の学校閉鎖などの努力もあって、急激な広がりは抑えられているようですが、流行は今後さらに本格化すると思われます。
先月号で当面の治療方針についてお知らせしましたが、その後様々なデータや見解が出て、当院の治療方針を見直しました。

<日本感染症学会と日本小児科学会の見解>

抗ウィルス剤の早期使用がなかったニューヨークなどで致死率が高く、早期使用している日本やチリで低いことを踏まえて、日本感染症学会は、可能な限り抗ウィルス剤を早期に全例に使用するという提言を出し、日本小児科学会も同じく重症化予防の観点から、5歳以下の小児には原則使用するよう勧めています。
ただしこれらはあくまで提言・勧奨であり、WHOや欧米では、現時点では重症化しやすい患者への使用を勧める、ということになっています。


<当院でも上記見解にそった治療を行います>

上記の見解を受けて、当院でも今シーズンは原則として治療は抗ウイルス剤をお勧めすることにします。
まだこのウイルスの毒性ははっきりしていませんが、重症者を少しでも減らすことが優先と考えました。
しかし、先月号でお示ししたように、選択肢は他にもありますので、ご希望があればご相談下さい。


<抗ウイルス剤の効果には限界もあります>

抗ウィルス剤は有熱期間を1〜1.5日短縮します。しかし重症化を防ぐことは期待されていても、残念ながら科学的根拠はありません。早期に使用しても脳症が防げなかったり死亡例は出ています。抗ウィルス剤を使用したから安心というわけではありません。
またタミフルは使用後に異常行動が出ることがあって、インフルエンザによるのか副作用なのかが結論が出ていないため、1歳未満と10歳代は原則使用しない注意が出されています。
このように抗ウィルス剤使用には限界があり、よい点と悪い点をてんびんにかけて使用していることをご了解ください。
1歳未満と10歳代にタミフルを使用する場合には、承諾書の記入をお願いしています。

<今後も見直しの可能性はあります>

これまでを振り返っても、インフルエンザ脳症が注目された数年前、全例抗ウィルス剤使用が勧められ、その後、タミフル使用後の異常行動が報告されて、1歳未満と10歳代は使用を避けるよう注意が出されました。
昨年はタミフルが効かない耐性ウィルスが増加して、抗ウィルス剤は軽症患者には使用する必要がない意見が強くなりました。
今回は新型に対し原則使用の方針が出されましたが、まだわかっていないことも多く、今後変更される可能性があります。

<発熱だけで、救急に駆け込む必要はありません>

年齢や持病の有無によるリスクはもちろんありますが、元来健康な人であれば、ほとんどの場合特に治療をしなくても自然に治る病気です。熱が出たというだけで夜間や休日に救急に駆け込む必要はありません。
次に示すような症状があれば、早期に受診すべきですので、判断の参考にして頂ければと思います。
この時期に、熱があるというだけで救急を受診する人が増えると、重症者の治療に支障をきたしてしまいます。


〜こんな症状に注意しましょう(小児)〜


・呼吸が速い、息苦しそうにしている
・顔色が悪い(土気色、青白いなど)
・嘔吐や下痢がつづいている
・落着きがない、遊ばない、反応が鈍い
・症状が長引いていて悪化してきた


◆地域ではやっている病気
インフルエンザは週4〜10名ほどでした。徐々に数が増え、年齢も地域も広がってきています。
迅速検査でA型と診断された方の検体の一部をサンプルとして保健所で検査する指定医療機関になっていますが、当院では全員が「新型」という結果でした。
今のところ皆さん軽症で、余病もなく治っておられます。かかったら、外出を控えマスクや手洗いなど、まわりの人にうつさないようにしましょう。
予防も同じことですが、食事や運動、睡眠などに心がけ、体調を整えることが一番の撃退法です。

*季節性インフルエンザ予防接種について*
〜ご予約受付は、10月2日(金)に再開します〜
今年は新型ワクチンの生産を確保するため、季節性ワクチンの供給状況が前年と変わっています。
ワクチンは確保しても納期が不確定なため、予約の取り方に大変苦慮しています。まず大丈夫とは思いますが、予約された後、日程変更をお願いすることがあるかもしれません。
なお、2回めの接種はできるだけ確実にできるよう努力しています。
申し訳ございませんが、今年の特殊事情ということで、
お赦しいただければと思います。

*新型インフルエンザ予防接種について*
接種できる時期も、またどこでどのように接種するかも、全く情報は入ってきていません。
現時点でできることとして、季節性のワクチン接種を出来るだけ早めに終わらせるようにと考えています。


◆ちび鉛筆
先月に続きインフルエンザ特集でしたが/この時期気になる病気は/他にもいろいろあります/喘息の発作が起きやすい時期です/7月号「喘息かしら?と思ったら」/待合室やHPでご覧になれますので/咳が長引いたりいつもと違う時は/参考になさって下さい(T)
posted by kuyama at 09:10| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする