
◆ワクチン何をどう選択するか?
◆地域ではやっている病気
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◆ワクチン何をどう選択するか
予防接種の話題が続いてしまいますが、今月も。
自費のヒブ、肺炎球菌、子宮頸癌(当院では未実施)は今後自治体の助成も広がり、普及が進むと思われます。
どれをどの順番で受けるか、費用と必要性のバランスを考える参考にしていただけるよう、まとめておきます。
<小児科医としてはどれもお勧めしたい>
いずれもほとんどの方が重症の感染や癌を経験することはありません。しかし医療者は常にこれらの病気を念頭におくほど、まれではない病気です。私自身もヒブや肺炎球菌の髄膜炎は何人も経験しています。
これらのワクチンで死亡者は激減するはずです。
公費か自費かはワクチンの重要性というよりは国の財政事情によるものであり、医学的には公費ワクチンも自費ワクチンも同じ様に必要です。
未熟児出生や心臓や免疫などの病気をもった乳幼児、保育園早期入園の方などは、必要性がより高いでしょう。
<優先順位をつけるとしたら?>
この3つの中で死者や重症者の数から比較すると、子宮頸癌ワクチンが一番優先順位が高いといえます。接種は11〜14歳がベストで、30代でも接種できます。
当院に通院される多くは乳幼児ですので、ヒブと肺炎球菌の必要性について、さらに考えてみましょう。
ヒブは毎年600人が重症感染(髄膜炎、敗血症、喉頭蓋炎)をおこし、髄膜炎の3分の1は死亡か後遺症です。
肺炎球菌は毎年200人が重症感染(髄膜炎、敗血症)をおこします。やはり髄膜炎の3分の1は死亡か後遺症です。数はヒブより少ないですね。しかし他に難治性の中耳炎をおこし、抗生剤に対する耐性菌が多いため、強い抗生剤の長期使用が必要になる場合があります。
保育園児の中耳炎は、耐性菌の肺炎球菌が多いです。
この2つの感染症は発症1〜2日で重症になり、診断が大変困難なのが大きな問題で、経口抗生剤では予防できないと言われています。
結論を言うとほぼ同じ優先順位です。保育園児や中耳炎になりやすいお子さんは、肺炎球菌ワクチンの必要性がより高いと言えるでしょう。
<年齢が上がると接種回数が減るので待ってもいい?>
任意では最終的には保護者の判断ですが、年齢が低いほど重症になりやすく、小児科で生後6ヶ月以前の発熱は、まずヒブと肺炎球菌の重症感染を念頭におくほど、乳幼児では気をつける病気です。当院でCRPなどの迅速検査を行うのは、これらの感染の早期発見が主な理由です。医学的には接種はできるだけ早くが望ましいです。
<ヒブや肺炎球菌感染症にかかった場合は不要?>
5歳くらいまでは、十分な免疫がつかずに繰り返し感染をおこすため、予防したい場合は必要です。
日本では肺炎球菌は9歳までが対象ですが、アメリカでは5歳以上は勧められていません。
5歳を過ぎると重症感染の頻度は減ります。
とくに5歳までが必要性が高いと考えてください。
<乳児がこれから接種する場合のスケジュールは?>
開始月齢により回数が異なるワクチンがあるので、3ヶ月スタートを例にしてみると、乳児期は百日咳(三混で予防できる)や髄膜炎がこわいので、医学的にはこれらを同時接種でBCG・ポリオより先に2回受けるのが理想的です。(ヒブと肺炎球菌は2ヶ月から可能なので、三混に先立ちスタートすればさらに理想的。)
この同時接種後に1週間あけ、6ヶ月までにBCGをすませるよう予定を組みます。BCGの後は4週間あけ3回目を同時接種。これが最短コースです。
効率よく受けるためには、「受けられる月齢になったらすぐ、必要性の高いものから」がポイントです。
詳しいスケジュールの立て方、月齢による回数は
「VPD」→検索
「VPDを知って子どもを守ろう」ホームページ
わかりやすくまとめられているので、一度ご覧になってみてください。
◆地域ではやっている病気
9月中旬までは残暑が厳しく、その後は天候不順でしたね。
このため喘息様の発作を起こし、吸入器を貸し出す例が相次ぎました。
このうち何割かの方は経過によって「少し時間をかけて治療しましょう」ということになります。
しかし定期通院しきちんと予防的な治療を受けている人は、このような気候でも発作を起こさずに乗り切れることが多くなりますので、がんばりましょう。
9月下旬に今シーズン初めてのインフルエンザ(A型)を診断しました。
今年の流行が小規模であることを願っています。
◆ちび鉛筆
今シーズンのインフルエンザ予防接種は/ネット予約を導入しました/おかげさまで混乱もなく進んでいます/ご協力に心より感謝申し上げます/ネットは苦手だなあという方/家事や仕事を終えた夜に/ゆっくり日程を考えられてよかったという方/色々とご感想をいただいております/今後もお気づきの点がありましたらお知らせください(T)