2010年12月28日

小児科だより01月号(No131/2011/01)

プレゼント今月の記事
◆感染症ー当院の治療方針
◆地域ではやっている病気


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◆感染症ー当院の治療方針

あけましておめでとうございます。
どんなお正月をお迎えでしょうか、小児科医としては、任意接種の公費化定期化が進むよう願っています。
さて、年初にあらためて当院の感染症に対する治療方針をまとめてみます。小児科で一番多いこれらの病気、十分ご理解いただいた上で治療にのぞんでいただきたいからです。

☆その1:身体の防御反応をじゃましない

咳、鼻汁、下痢などの症状は、ウィルスや細菌など病原体や有毒物を身体の外に出すための防御反応です。
これらの症状を取る薬を使うと楽になるようにみえますが、結果的には病気を長引かせることの方が多いです。症状を消す薬はではなく、原因を取り除く薬による治療を原則にします。
しかし嘔吐のように、進んでしまうと脱水をおこして身体に有害なことがある症状は治療をおこないます。

<次の薬は原則使いません>
・中枢性鎮咳薬(アスベリン、メジコン、フスコデ)
・抗ヒスタミン薬(ペリアクチン、ポララミン)
 痰の粘度を増して出にくくしたり、眠気をおこす
・腸運動抑制薬(ロペミン)
 腸の働きを抑える薬です。腸粘膜は活動するほうが回復が早くなりますし、有害物を早く除去します。

<むやみに熱を下げない>
熱も免疫を高めて病原体に対抗する防御反応ですから、熱を下げない方が早く治ります。
41〜42℃までは身体に有害ではありません。
昔「熱で頭がおかしくなる」と言われたのは、脳炎が珍しくなかったためです。脳炎が熱を伴うのであり、熱そのもので脳炎を起こすことはないのです。

・解熱剤を使う場合:
高熱の経験が少なく心配なとき備えれば安心ですが、熱に慣れれば使わなくてよいです。熱だけで脱水や消耗ということはめったにありません。熱に伴う症状がつらい場合などにまれに使います。

☆その2:抗生剤の使用は最小限に

感冒のうち、抗生剤の効く細菌感染は2割だけで、残り8割は抗生剤の必要ないウィルス感染です。
日本は世界の標準よりはるかに多くの抗生剤が使われており、不必要な使用が多くあります。

<使いすぎの弊害>
正常の身体の菌(乳酸菌など)を減らします。身体には有害な菌よりはるかに多くの無害な菌と有益な菌がありますが、このバランスを崩したり、有害な菌が増える原因になることがあります。
また、突然変異をおこし抗生剤の効かない菌(耐性菌)が増えやすくなります。日本を含めた世界中で、耐性菌は覚えきれないほど種類が増えてきました。(BLNAR,MRSA,VRSA,MRAB,NDM-1,KPC,ESBLなど)
すべての抗生剤が効かない菌による死亡例も、
しだいに増えています。

<抗生剤使用の方針>
緊急性の少ない感染症は、初めは原則抗生剤を使いません。抗生剤が必要か確認するために、検査の必要性が高い場合(乳児、長引く発熱、基礎疾患がある、など)は検査を積極的に行います

☆その3:迅速検査で的確な治療方針をたてる

10〜20分で判定できる検査を積極的に活用します。
その場で重症度を確認したり、抗生剤の使用を含め治療方針を決めるのに有用です。

<当院でできる迅速検査の種類>
白血球とCRP、診断キット(インフルエンザ、溶連菌、アデノウィルス、RSウィルスなど)、尿検査、血糖、血中酸素飽和度など。   
これらの検査で何がわかるのか、ここではお伝えしきれませんが、検査をする時にはその意味や結果の見方などを詳しく書いたものをお渡ししています。
子どもにとって感染症は避けて通れないもの。それにより免疫力をつけて成長していきます。
当院では、子ども自身の抵抗力を助け、重症化を予防し、必要かつ最小限の薬ですむように工夫しています。

◆地域ではやっている病気

12月は何といっても、感染性胃腸炎が多かったです。
「ノロウイルス集団感染」などとマスコミで大きく取り上げられていましたが、昔から冬に多い「吐き下しのカゼ」の一種です。
軽くすむ人もいれば脱水等で重くなる場合もあり、大切な事は「原因が何ウイルスか」ではありません。
元気になってもウイルスは出ていますので、どこでももらう可能性があります。
インフルエンザも年明けから増えてくると思われます。
手洗いの他、よく食べよく遊びよく寝ることで抵抗力を高めましょう。


◆ちび鉛筆

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posted by kuyama at 09:57| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする