2013年06月29日

小児科だより07月号(No161/2013/07)

晴れ今月の記事

◆喘息かも?と思ったら

◆地域ではやっている病気

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◆喘息かも?と思ったら

梅雨は喘息が増える季節です。カゼをひいたら、何だか咳が長引くなあ、喘息かも?と心配な方もおられることでしょう。そのあたりから、ご説明していきます。


<喘息と風邪はどう違うの?>

喘息とカゼの症状はとてもよく似ています。咳や鼻汁やゼーゼーはどちらの病気でも見られます。
専門家も1回の症状では2つの区別がつかないことはめずらしくありません。その理由は、2つの病気とも気管支の炎症を起こすことは共通していて、お互いに相手の原因になることが多いからです。


<診断は、検査でつけるものではない>

カゼが長引いて喘息らしき症状があっても、喘息と診断できるのは、3回以上繰り返したら、というのが専門家のだいたいの合意になっています。
喘息が治りにくくなるにはある程度時間がかかるので、急いで診断をつける必要はないからです。
診断は症状でつけるもので、アレルギー検査でつけられるのではありません。なぜなら検査が陽性でも喘息でないことがあるし、陰性でも喘息のことがあるからです。検査はあくまで参考です。
アレルギー陽性はアトピー型、陰性は感染型といいます。感染型は繰り返す感染が原因で、乳幼児に多く、小学校に入るころには卒業することが多いです。アトピー型は他のアレルギー(アトピー性皮膚炎や鼻炎など)も一緒に持つことが多く、一般に治りにくいです。


<喘息は慢性疾患です>

喘息とカゼを区別する必要があるのは、喘息が慢性の病気だからです。「発作がないから治った」ではありません。
慢性の病気の特徴は、「症状がないように見えても隠れて進行する」、「進行すると治りにくくなって悪化する」ことです。進行すると気管支が狭く固くなり、もとに戻らなくなります。これを「リモデリング」といいます。
小児喘息は半分程度が治らないで、高齢になって再発や悪化することが多いです。


<喘息を完全に治す治療法はまだない>

喘息治療の基本は、吸入ステロイドとロイコトリエン受容体拮抗薬(オノン、プランルカスト、シングレア、キプレス)という飲み薬です。これらの薬によって、発作はずいぶん抑えられるようになりました。
しかし長い期間よい管理ができていても、治療後の再発を完全になくすることができない、というのが現状です。
 

<慢性化を食い止めるのはゼロレベルの治療>

ではなぜ治療をするのか、というと、苦しい症状をおこさなくすることはもちろんですが、大切なのは慢性化(リモデリング)を防ぐためです。たとえ再発したとしても、気管支を健康に保っておけば、悪化を食い止められます。
そのためには、気管支の炎症を完全に抑える必要があります。この目安は長いこと症状がない「ゼロレベル」が続くことです。
 

<どのくらいの期間治療するの?>

世界中でいつまで治療を続けたらよいか調査されていますが、結論は出ていません。これはよい管理ができても、再発を食い止める治療がないからです。
ですから「こうなったら治療は卒業しましょう」という統一見解はありません。
当院では現在のところ、最後の1つの薬だけになって無症状が半年〜1年続いたとき、を目安にしています。
大部分の方はあまり繰り返さなくなっています。もし再発したら、またしばらく継続治療をしています。
この期間は医療機関ごとに違いますので、ご了解ください。 


<ダニ、ホコリの除去も大切>

アトピー型(アレルギー検査陽性)の喘息は、ほとんどがダニとホコリが陽性ですから、掃除が効果があります。掃除には薬1つ分の効果がある、でも効果が出るには半年かかる、と心得てください。
布団の掃除が一番大切で、1週間に1度でも効果があります。床は掃除機をかける前に拭き掃除(クイックルワイパーなど)をするとホコリが舞い上がりません。
ペットは飼わないか、時々洗って毛が舞わないように。
アレルギー検査が陰性の方も、掃除はある程度効果があります。


<治療のポイントは病気の理解>
喘息のよい治療のためには、患者さんと家族が病気をよく理解することが欠かせません。当院では継続治療の導入にあたっては、詳しい資料を差し上げガイダンスを行います。また「ゼロレベル」の確認のために、表を記入していただいています。
詳しくは、看護師や医師にお尋ねください。


<衛生的すぎる生活が喘息を招く?!>

アレルギーを減らすには、適度の感染が必要というお話です。

免疫の研究が進んだ結果、アレルギーは免疫のバランスが崩れることが原因の1つであることがわかってきました。3歳くらいまでに感染を多く経験すると、免疫のバランスにはよい効果があるようです。
このことは、兄弟が多い、保育園に通園している、ペットと同居している子どもはアレルギーが少ないことから裏付けられました。
途上国より先進国でアレルギーが多いのも同じ理由のようです。

あまりに衛生的な生活をしたり、感染をこわがりすぎるのは考えものかもしれません。
乳幼児期にはぜひ、人との触れ合いや外遊びをたくさん経験させてあげたいものです。


◆地域ではやっている病気

園、学校でいろいろな感染症がはやる時期です。
今月増えてきた
咽頭結膜熱(プール熱)や手足口病は夏カゼの代表です。他にヘルパンギーナもその仲間ですが、今のところは見られていません。
夏カゼは基本的には軽い病気です。特効薬はありません。
症状に合わせたケアをし、こじれる兆候がないかに気をつけて経過を見守ること、どんな病気にも当てはまるポイントです。


◆ちび鉛筆

毎年のようにこの時期に喘息をとりあげます/内容はそれほど変わりませんが/小児科は成長にともない患者さんの入れ替わりも多いので/病気のお話も繰り返しになります/小児科では成長発達〜時間〜が大きな味方、希望になってくれます。(T)



posted by kuyama at 13:49| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする