2014年06月02日

小児科だより06月号(No172/2014/06)

晴れ今月の記事

◆ゼーゼーするカゼと喘息のおはなし
 〜うちの子は喘息なの?

◆地域ではやっている病気

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◆ゼーゼーするカゼと喘息のおはなし
 〜うちの子は喘息なの?


梅雨の時期は咳やゼーゼーの強いカゼ(ライノウィルス)が増えます。ゼーゼーが長引くと、この子は喘息かしら?と心配になりますね。
他にRSウィルスやヒトメタニューモウィルスなど、年間を通して急性の気管支炎や肺炎を起こすカゼウィルスがあり、慢性疾患である喘息との鑑別は簡単ではありません。
そうしたケースをどう考えたらよいでしょうか。

<喘息の診断は難しい>

喘息の診断が難しい理由は2つあります。
1つは、喘息と気管支炎はどちらも「気管支の炎症による狭窄」(空気の通り道が狭くなる状態)を起こすので、症状だけでなく病変も共通するからです。
もう1つは、喘息を直接診断する検査がないからです。
アレルギー検査はありますが、喘息とイコールではないので、参考にはなっても決め手にはなりません。
ですから、喘息発作を起こしても、1回だけではまだ慢性疾患である「喘息」とは診断されません。
1回の発作だけで「喘息」と診断されたという方がおられるかもしれませんが、日本小児アレルギー学会では専門以外の医師では喘息の診断が早すぎる傾向があるとしていて、まだ様子を見ないと決定できないことも多いです。

<時間をかけて症状で判断>

慢性の「喘息」の診断は、「慢性に繰り返す(ゼーゼーする症状が3回以上繰り返される)」、「喘息の治療をして効果があるか(診断的治療)」、「経過の長さ(ゼーゼーの続く期間)」によって行います。
診断には数ヶ月かかることになります。
診断を急がない理由は2つあります。
1つは、経過を見るとゼーゼーが消えて喘息ではない場合も多いことです。
もう1つは、他の慢性疾患と違って、すぐに治療しなくても慢性化の防止には十分間に合うからです。

<なぜ診断が大切なの?>

見かけの症状が同じでも、ウィルスによる気管支炎は、治れば炎症が消えて元の健康な気管支にもどるのに対し、喘息は、放置しておくと気管支が慢性の炎症で狭窄し、元に戻らなくなります。(これをリモデリングといいます)
残念ながら大人まで持ち越して、一生の病気になってしまうことも少なくありません。
そうならないためには、気管支がまだ戻るうちにしっかり治す必要があります。
これが、喘息かどうかの的確な診断が必要な理由です。

<現在の治療の考え方>

喘息の治療は「抗炎症薬」で行います。
これには吸入ステロイドとロイコトリエン受容体拮抗薬の2つがあります。
「抗炎症薬」の働きは、気道の炎症を抑えて「リモデリング」(治らない狭窄)を防ぐことです。
喘息症状が出ると、数週間から数ヶ月は気管支の炎症が残ります。抗炎症薬を続けることで、発作の繰り返しを抑えます。
治療の目的は、「発作を止め」、「症状ゼロの状態を保ち」、それによって「リモデリングを防止」することにあります。

<治療はいつまで続くの?>

いつまで治療を続けるか、見きわめが難しい場合もありますが、当院では、薬を最後の1つまで減らしてから発作が起きないで半年〜1年経過、というところを一応のゴールにしています。
実際に当院で拝見しているお子さんの多くは、感染が少なくなる小学校入学前後に発作がほとんどなくなって継続治療を卒業されています。

<1人1人に合わせて 〜長い治療を乗り越える>

治療は長期になりますので、医師におまかせではなく、お子さん本人や親御さんが目標を持って取り組むことが成功の秘訣です。
このために、当院では治療の開始にあたっては、病気の知識や今後の進め方や見通しなどについて、ガイダンスを行ない、受診の際にも、心配があればご遠慮なくご相談いただくようにしています。
いろいろな理由で受診が遠のき中断してしまう方もおられますが、来院しにくいまま放置しては、せっかくの治療の時期を失ってしまいます。
ご遠慮なく、再度おいでください。
しんどいこともあるかもしれませんが、ご一緒に取り組んでいきましょう。


◆地域ではやっている病気

連休前後は、外来は落ち着いていましたが、5月中旬頃からまた感染症が増えてきました。
毎年この時期に多くなる溶連菌感染症や水痘も幼稚園や保育園で目立ってきています。
これからは、ゼーゼーいうカゼや喘息に加え、咽頭結膜熱(プール熱)、ヘルパンギーナなど、夏カゼウイルスがはやる時期です。


◆ちび鉛筆

とある年配のバイオリン奏者の本を読みました/大震災で被災された方を励まそうと楽団を組み/現地で童謡や唱歌を演奏したとのこと/後で若い演奏者に聞くと「全部知らない曲だった」そう/世代間ギャップにびっくりです/「♪雨あめ降れ降れ母さんが」なんて/最近はもう歌わないのかな?/知っていても「蛇の目でお迎え」って何?!・・かもしれませんね (T)
posted by kuyama at 08:00| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする