2014年12月01日

小児科だより12月号(No178/2014/12)

今月の記事
◆予防接種はどこまで増える?

◆地域ではやっている病気

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◆予防接種はどこまで増える?

初めてのお子さんや、久しぶりに次のお子さんを授かった親御さんは、予防接種が増えて、同時接種が当たり前になったことに驚かれていることと思います。
スケジュールに頭を抱えている方、きょうだいで混乱してしまう方なども、おられることでしょう。
それでもきちんと受けることの意味、これからの予防接種はどうなっていくのか、ご一緒に考えてみましょう。

<予防接種が増えたわけ>
理由は2つあります。
1つはワクチン開発技術が進んだこと、もう1つは日本が新しいワクチンを外国から取り入れるようになったことです。
ワクチンで予防すべき病気は多くありますが、技術の進歩で新しいワクチンが次々に開発されています。これらは外国製がほとんどで、日本では数年前まで新しいワクチン導入に慎重でしたが、予防重視に方針を転換して、現在は積極的に取り入れています。
その結果、自費接種が定期接種(公費)に変わったり、新しいワクチンが導入されるようになったのです。

<予防接種で防ぐべきタイプの感染症とは?>
かかると重症になったり、後遺症が残ることがある病気、ワクチンがないと流行を防ぐのが難しい病気、という2つの特徴があります。
今年10月から定期接種になった水痘(みずぼうそう)も、ワクチンがないと流行を防ぐのが難しく、1度かかった人の3分の1が高齢者になると帯状疱疹(難治な神経の痛み)という後遺症が出るため予防が必要な病気です。
このように、予防接種の種類が増えると防げる病気の種類が増えるというメリットがあります。
皆さまは「七五三」の由来をご存知でしょうか。
これは「命定め」の病気を乗り越え、生き残ることができたお祝いで、予防接種がなかった時代に多くの子どもが感染症で命を落としたことを物語っています。

<受けた本人以外にも恩恵が>
病気が防げるのは接種したその子だけではありません。
接種で免疫を持った人が防波堤になるために、免疫のない他の人が守られます(集団免疫)。
例えば、子どもが肺炎球菌接種を打つと、免疫がない周囲の高齢者の肺炎球菌感染症の防波堤になります。
また子ども時代にしっかり免疫をつけることで、母親になった時に胎盤を通して赤ちゃんに免疫を与え、まだワクチンを受けられない時期も、感染症から守ってあげられます。
子どもが感染症で死ぬことがほとんどない時代を生きていると、それが当たり前と思ってしまいますが、それは、痛くても大変でもワクチンを受けているおかげなのです。

<ワクチンはまだ増えるの?>
現在も定期接種以外に自費ワクチンがありますね。
おたふくかぜ、B型肝炎はすでに多くの国で定期接種になっていて、日本でも早ければ数年以内に、定期接種になると思われます。
どちらも大切なワクチンで、自費でもできれば接種していただきたいものです。
その他開発中のものとしては、デング熱、エボラ出血熱のワクチンがあります。新型インフルエンザも、患者発生から生産までの時間が短縮されました。ノロワクチンも研究されていて、将来は実用化されるでしょう。

<種類が多くても、早めに接種を完了するために>
ワクチンが多くなると、スケジュールが分からない、打ち切れない、ということが起こりえます。
日本以上に種類が多いアメリカでは、かえって接種率が下がってきたとのことです。
何種類かをまとめて済ませられるよう、混合ワクチンが開発されつつあり、日本で導入されていないもの(外国では6種混合など)もあります。
接種回数が減らせるようになるといいですね。

現状では、同時接種がお勧めです。
スケジュール管理が楽になり、通院回数を減らせ、何より早期に感染症を予防することができます。
困ったことがあればご遠慮なく、市町村の保健センターや医療機関にご相談ください。
受診時や接種後などに看護師に声をかけていただいても結構です。
また、専門家によるWebサイトも役に立ちます。
スケジュール管理のためのアプリも配信しています。
(VPDの会で検索)


◆地域ではやっている病気

RSウィルス感染症は後半減少傾向でした。
インフルエンザは、例年では年明けから増えてきますが、今期は立ち上がりが早い印象です。
この地域の小児では急な増加傾向はまだありませんが、動向には注意しています。
また冬は胃腸炎が多くなりますが、
そろそろ増えてきています。


◆ちび鉛筆

今年も残りわずかとなりました/年の初めに何か抱負を考えた気がしますが/最近忘れっぽくなっています/このお便りを無事毎月出せてよかったです/子どもの痛ましい事件事故が起こるたび/大人の責任を感じる1年でした/好奇心きらきらの瞳が失われるのは/本当に残念なことです (T)

posted by kuyama at 09:14| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする