2015年03月02日

小児科だより3月号(No181/2014/03)

今月の記事
◆「子ども」をしっかり生きる

◆地域ではやっている病気

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◆「子ども」をしっかり生きる

私が診察室でお子さんに接する時、いつも心がけていることは、「遊び」の気持ちです。
理由の1つは「笑いは病を癒す」です。
子どもの笑顔は心配する親御さんもホッとさせます。
もう1つは子どもらしさを見るのが何より楽しみだからです。子どもに関わる仕事につくことができて、本当によかったと思います。
子どもは遊ぶのが仕事というくらい遊びが大好き、そんな時、私も自分自身の「子ども」を取り戻して元気をもらっています。

<人生の土台作りは「子ども時代を生き切る」こと>
さて、自分自身の「子ども」って何?と思った方もおられるでしょう。これが今月のテーマです。
家作りで一番大切なものは土台。
同じように人間でも土台が大切なことを発達心理学が教えています。
では人間の土台とは何でしょうか?
それは人間の「動物」である喜怒哀楽(喜び、怒り、悲しみ、楽しさ)などの感情や本能です。
土台である「動物」はきれいではないし目に見えないので、建物である学力や社会性に目を奪われがちです。
でも建物は土台がなければ立ちません。
親御さんは今、お子さんの「動物」に苦労していると思いますが、これこそが後の人生を支えるものです。
先日新聞のコラムで、小1の息子さんと話す時間がない父親が、週末にその子の上履きを洗うことを習慣にしていて、ある時「来週はもっと汚しておいで」と声をかけた話がありました。汚さなかったことを褒めそうな母は、教えられたそうです。もちろん、お子さんも嬉しかったのです。

私の原点も、子ども時代の冒険(木登り、自転車のモトクロス、毛虫やへび集め)です。小学生の時馬糞(ばふん)を顕微鏡で見た感激は今も忘れられません。
小児科医として仕事を続けられるのも、子どもとこうした原点を共感しあえる遊びの心があってこそ。
人は、要求が受け入れられる乳幼児期、社会のルールを教わる学童期、自分の判断を行う思春期を通過して大人になると言われます。
土台も建物も、作る時期と順序は決まっているのです。
子ども時代をしっかりと生き、人生の土台作りができるよう見守ってあげたいですね。

<「安全、清潔」の行き過ぎも問題>
最近社会の安全志向、清潔志向が強くなってきたと思います。軽い症状なのに「この病気はうつりますか」、「念のため受診するように言われた」、などと来院される方が増えました。
安全、清潔、そのこと自体はいいことですが、保護や管理にばかり目が行くと「〜してはいけない」ということが前面に出て、冒険心を失ってしまうように思います。
また社会の側も、特に都市部では、園などに子どもの声がうるさい、という苦情もあるそうです。
大人の世界を自分自身の善悪の基準で生きてゆくためには、子ども時代に失敗や限界に体当たりする経験をして、いろいろなことを身体で覚える必要があります。
こうした環境は、大人になるための独自の判断を試す機会を奪ってしまわないかと心配になります。
自然の中でのびのびと冒険や失敗を経験させてあげてほしいと願っています。

<親自身の「子ども」も大切に>
児童虐待についてマスコミで目にする機会が増えました。私も、お子さんに辛い育児しか与えられない親御さんとお会いすることがあります。
子どもの悲惨さが注目されますが、親の過酷な状況にも目を向ける必要があります。

ロジャーの心理学では自我には「子ども」と「大人」が共存していて、「子ども」の自我は生きる原動力である「肯定」、「大人」の自我は社会での立ち位置を決める「コントロール(否定)」を担当するとされます。
この「子ども」は「動物」の土台を担当します。
人間が生きるのに辛い環境に置かれると、生きる原動力の「子ども」の自我が初めに傷つきます。
マタニティーブルーやうつ病などの方は、喜び、笑い、共感などの「動物」が失われています。
このような時には「否定」は禁物です。人から肯定をもらったり、土台である自分の中の「子ども」の生き直しが、回復には必要です。
親の「子ども」が元気になると、お子さんの「子ども」も元気になるでしょう。


◆地域ではやっている病気

インフルエンザは、2月初旬をピークに、下旬には終息傾向になっています。
今シーズンは、この地域ではまだB型がほとんど出ていないのが特徴的です。
代わって花粉症での受診が多くなっています。早めの薬の使用もそうですが、花粉にさらされないことが一番大切です。マスクや専用の眼鏡なども活用しましょう。


◆ちび鉛筆

ご卒園ご卒業おめでとうございます/花咲く季節が近いですね/植えっぱなしのチューリップが毎年/健気に顔を見せてくれるのですが/赤、白、黄色と植えたはずなのに/いつしか黄色だけになりました/黄色の球根は強いのか?・・謎です (T)

posted by kuyama at 08:45| カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする