2015年06月01日

小児科だより6月号(No184/2015/06)

今月の記事
◆朝がつらい子どもたち 〜起立性調節障害のおはなし

◆地域ではやっている病気

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◆朝がつらい子どもたち 〜起立性調節障害のおはなし

早起きが苦手、朝起きられず学校に遅刻したり登校できないお子さんは、春に症状が強くなる傾向があり、ご相談を時々受けます。
このような方の多くが「起立性調節障害」Orthostatic Dysregulation(OD)という体質的な低血圧です。
ご一緒に考えてみましょう。

<どんな病気ですか?>
よくあるもので、小学生の5%、中学生の10%とも推定されています。男女比は1:1.5〜2で、女性に多いです。

【症状と診断】
1)立ちくらみやめまい、2)起立時の気分不良や失神、3)入浴時や嫌なことで気分不良、4)動機・息切れ、5)朝なかなか起きられず午前中調子が悪い、6)顔色が青白い、7)食欲不振、8)腹痛、9)倦怠感、10)頭痛、11)乗り物酔い 

上にあげた11の症状のうち3つ以上あること、血液や内分泌などの病気がなく、診察や検査で異常がないこと、低血圧(とくに立位)が当てはまることで診断します。

<なぜこんな症状が出るの?>
健康な人は、立った状態で重力による血流量のアンバランス(血液が下半身に集まって、血圧が下がる)が起きないように、起立時に交感神経がうまく働いてくれます。
しかしODの人ではこれがうまくいかず、上半身(とくに脳)が低血圧状態となって症状が出現するのです。
しかし、なぜ小児や思春期に交感神経の働きが低下するのか、ということはよくわかっていません。
きっかけとしては、身長が急に伸びる、ホルモンバランス、ストレス、夜型生活などがあります。
遺伝も関係するようで、ご家族や親戚に同じような経験を持つ方がいることがあります。

<治療が必要なの?>
多少不調があっても、社会生活に支障がない程度なら、治療の必要はありません。
しかし、不登校が続いてしまうような場合は、慢性化して成人期にも深刻な影響を残すことがありますので、治療をお勧めします。

具体的には、1)朝起きられず、遅刻する、登校できない、2)だるさ、めまい、立ちくらみ、乗り物酔い、頭痛、腹痛のため日常生活に支障がある、などです。

<「こころの病気」ですか?>
体質からくる「身体」の病気で、「こころ」の病気ではありません。まず身体の問題として扱います。
しかし心理的不調和がきっかけとなったり、ODによる生活上の障害の結果として、後からこころの問題が出てくることもあるので、経過を見ながら取り組み方を考えていく必要があります。

<治療や対策がありますか?>
医療機関では、症状に応じて血圧を上げる薬や漢方薬を処方したり、心理的なサポート、治療の評価などを行いますが、まずは家庭で行う、以下のような生活改善が大切です。

1)夜の光対策(光は睡眠を妨げます)
 スマホ、ゲーム、テレビを早く切り上げる、照明を暗く

2)夜型生活対策
 夕食は早めに控えめに、夜食はやめる、早く床に付く
 夜型リズムの見直し:塾、習い事、バイトなど

3)朝起き対策
 朝日光を浴びる(カーテンを開けて寝る)、起きたら布
 団の中で手足を動かすなど
 朝起きた後の楽しいことを作る(ゲームをするなら朝)
 朝食を食べる、シャワーを浴びる

4)自律神経対策
 冷水とお湯を交互に浴びる、運動する
 水分摂取を増やす(1.5Lが目安)
 弾性ストッキングや加圧式腹部バンドの使用

5)周囲の対応
 仮病扱いしない、登校を強制しない(しかし長期化
 する前に早めの対策を)
 叱咤激励は逆効果
 規則正しい生活リズムづくりを応援する

お困りの場合は、どうぞご相談ください。


◆地域ではやっている病気

5月は連休明けに、溶連菌感染症、胃腸炎が少し目立ちましたが、その後感染症は全体に下火になっていました。
昨秋から定期接種となった水痘は、毎年流行がみられるこの時期にも、今のところ増えていません。
これから夏にかけては、ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱などの夏カゼが増えてきます。


◆ちび鉛筆

当院が今の建物に移ってきて15年あまり/設備関係の修理や更新の時期になっています/少しずつ進めていたエアコンの入れ替えが先月末に完了/暑い夏を前にこれでひと安心です/一生同じパーツを使い続ける人間も/ちゃんと管理をしなくては…(T)


posted by kuyama at 09:00| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする