2016年03月01日

小児科だより03月号(No193/2016/03)

今月の記事
◆子どもを伸ばす育児とは?

◆地域ではやっている病気

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子どもを伸ばす育児とは?

卒業や進級の季節、子育てを振り返る時期でもありますね。育児について、心理学や脳科学はいろいろなことを示唆してくれます。
最近読んだ発達心理学の本、内田伸子著「子育てに『もう遅い』はありません」(成美堂出版)から、最近の脳科学の知見をふまえた感想もまじえながらご紹介します。

<早期教育には効果があるの?>
著者の調査によると、結論は「早期教育の発達への効果は、『コミュニケーションの機会を増やす』という点では効果があったが、教育内容についての効果はなかった」というものでした。
小さいうちは、勉強させるよりも、自由な遊びの中で意欲や集中力、探究心を身につけた子の方が、その後の学力が伸びるということです。
スポーツ系の習い事についても、3〜5歳では、習い事をしない子どもの方が体操教室に通っている子よりかえって運動能力が高い結果でした。
以上のことから、子どもの発達には、早期教育よりふだんの「遊び」がまさっている、知的教育でも運動でも、「遊び」を通した自由な工夫や社会性の獲得が子どもを伸ばす、と著者は考えています。

<どんなコミュニケーションが効果的?>
親子のコミュニケーションの傾向を次の2つのパターンに分け、学力との関係を調べています。
共有型:子どもの主体性を大切にし、子どもの考えを聞いたり共感したり一緒に考えたりする姿勢。
ほめる、励ます言葉かけが多くみられます。
強制型:親の考えが優先で言うことを聞かせるタイプのことで、ダメでしょ(禁止)、何々しなさい(強制)という言葉や、勝ち負けを持ち出します。
比較した結果は、共有型の関係の方が、学力が高い傾向にあったそうです。
「共有型」の育児では、子どもは親の顔色うかがったりせずに、自由に楽しい経験を持つ機会が増えます。


脳科学の最近の研究では、感情と記憶の関係について、「辛い、つまらない」より「楽しい」方が記憶が定着し、学習効果が高まることがわかっています。
好きこそものの上手なれ、楽しければ子どもは集中して取り組み、どんどん吸収していきますね。
内田さんの調査はこれを裏付けていると言えるでしょう。

ただ、こうした調査結果は大いに参考になると同時に、留意点もあります。
「早期教育」といっても、その内容やかかわる人の姿勢によって、子どもへの影響は一律ではなさそうです。
また子どものしつけには、時には禁止も必要ということは、誰しも異論はないでしょう。
◯×ではなく、その意味を理解した上で、親子関係が「強制型」のパターンに陥りやすくなっていないかを振り返り、心がけるとよいと思います。

その他、本の読み聞かせ、手を使ったブロック遊び、そして親の読書習慣、家庭に本のある環境、なども、子どもに良い影響があるとのことです。

<気になる「スマホ」の影響は?>
さて、生活にすっかり浸透し便利なスマホですが、これが育児に持ち込まれることについてはどうでしょう。
急速な普及に研究が追いついていないのが現状ですが、少しご紹介します。
乳児期にビデオの視聴が多かった子どもは、認知や言語発達が遅れるとする研究があります。
また、スマホ、ゲーム、テレビやビデオなどの映像は乳幼児の脳に良くない影響がありそう、との結果が多いようです。たとえば、強い音や光は脳への過度な刺激となる、じっくり型の思考より衝動的反応に結びつきやすい、過激な表現の良くない影響、などが挙げられています。

しかしこうした研究を待たずとも、子どもの成長発達には、バーチャルではなく生き生きとした実体験が大切であること、親子の時間も、直接目と目を合わせ対話したり体験を共有するという関係性がより大切であることは間違いないことです。

子育ては、終わってみればあっというまのかけがえのない時間、少し立ち止まって考えてみるのもよいかもしれません。

◆地域ではやっている病気
例年より立ち上がりが遅かったインフルエンザは、年明けの第2週(1/11〜)から増え始め、当院では2月上旬がピークでした。
検査結果は、当初はほとんどがA型でしたが、だんだんB型の割合が増え、2月下旬は3:7でB型の方が多くなっていました。
千葉県全体でも、2月8日の週がピークで同様の傾向となっています。花粉症は、今年は早くから症状が出る方が多いです。

◆ちび鉛筆
ご卒園ご卒業おめでとうございます/子どもたちの成長を嬉しく実感する季節ですね/前進するエネルギーは小さい人にかないませんが/心新たな気持ちになります/とはいえ新年の決心は何だったかすら/記憶もあやしい今日この頃です・・(T)



posted by kuyama at 18:34| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする