2016年10月03日

小児科だより10月号(No200/2016/10)

今月の記事
◆予防接種の素朴なギモン

◆地域ではやっている病気

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◆予防接種の素朴なギモン
この10月から、B型肝炎ワクチンが新しく定期接種になりました。これでようやく世界標準に追いついた形です。
しかしまた、次々に新しいワクチンが登場して、ノロ、デング、ジカなどのワクチンも開発中です。
そう聞いて、「安心できるから、よかった」と思う方もいれば、「いったいどこまでワクチンで予防しなけりゃならないの?」という方がいてもおかしくないですね。
ご一緒に考えてみましょう。

<どこまでワクチンで予防するの?!>
ワクチンはあまたある感染症に対して、やみくもに作っているわけではありません。
ワクチンで予防する病気(Vaccine Preventable Diseases、以下VPD)にワクチンを使うことによる社会的利益は、予防のコストと病気になった場合のコスト(生活の不利益、医療コスト)の統計的比較で計られます。
VPDは、かからなかったりかかってもほとんどが軽症なので、災害対策と同じように、統計と個人の実感のずれが起こります。
しかし、例えばヒブや肺炎球菌の感染は、当院でも1ヶ月に数人は出て、髄膜炎やその後遺症もありました。このため熱が続くお子さんを前にして常に重症感染を心配し、抗生剤を多く使うことになりますが、その必要がなくなりました。麻疹、風疹などもみられなくなり、薬や検査、入院が激減しました。

<ワクチンで守られるのは、受けた人だけではない>
ある集団に感染症患者が発生した場合に、一定以上の人が免疫を持っているとそこでは流行は広がりません。(集団免疫といいます)
そのことによって、接種月齢に達しない赤ちゃん、接種できない病気の人や妊婦さんとその胎児、免疫が低下し
ている人たちを守ってあげることができます。
ワクチンは、受ける人だけでなくその属する集団の利益にもなる、もうひとつの大切な役割です。
少数の「ワクチンは絶対打たない」という方も、そうした集団に守られているのです。

<回数が多いのは何とかならない?>
理屈はわかっても、接種は大変ですね。
種類や回数が多いことで、赤ちゃんや親御さんには負担だし、スケジュールが複雑で間違えやすい、対応する医療機関が減るなど、影響が大きいのです。
海外では、5種混合、6種混合などで接種回数を減らしており、日本でも早く導入が実現してほしいです。
複雑になっている分、「お母さん、私は◯◯ワクチン打った?」「さあ」とならないよう、公的機関に登録して、いつでも自分の接種歴にアクセスできるような制度も必要です。

<副作用や都合の悪いことが隠されていませんか?>
国や自治体や企業の無責任体制?が次々発覚する昨今、「ワクチンは大丈夫なの?」というのはまっとうな疑問です。
各国に監視するシステムがあり、専門機関を持つ国もあります。日本では厚生労働省が管轄し、例えば副反応については「予防接種後副反応報告制度」があり、医師は副反応の報告義務があります。被接種者や保護者が市町村を通して申し出ることも制度化されています。
専門家による審議の内容などは厚生労働省のホームページで公開されています。
今後もさらなる体制の強化やわかりやすい情報公開、そして国民の監視も必要です。
なお、添加剤のチメロサールで自閉症が増えた、ヒブや肺炎球菌ワクチンが原因で死亡した、との因果関係は、現在は明確に否定されています。

<その他、この頃考えること>
子どもの時に、なんらかの理由で定期のスケジュールで接種しなかった人が、その後希望すれば、その時点の年齢で医療上有益なワクチンは公費で受けられるとよいと思います。(そのような制度を持つ国もあるそうです)
昨今の麻疹流行の原因となっている、制度のはざまにあった世代(2回目公費接種の機会はあったが、当時中高生だったため接種率が低かった)への対策も望まれます。

いろいろ書いてきましたが、予防接種については様々な考え方があると思います。
疑問や不安な点は、ご遠慮なくご相談ください。


◆地域ではやっている病気
9月は乳幼児にRSウィルス感染症が目立ちました。
ありふれた感染症で生涯に何度も感染しますが、乳児期では重くなりやすく、注意が必要です。
それにしても、先月は長雨で気温も低めでした。運動会にも影響があったことでしょう。
10月は秋晴れのもと、外でたくさん遊べるといいですね。気温差が大きくなりますので、体調にご注意ください。


◆ちび鉛筆
9月にパラリンピックが終わりました/今年は前々から特集番組が組まれ/選手の紹介や競技の見どころなどがあり/以前よりとても楽しめた気がします/スポーツと言えば/今月は幼稚園や保育園の運動会たけなわ/お天気に恵まれ楽しい1日になりますように (T)
posted by kuyama at 08:42| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする