2017年05月01日

小児科だより5月号(No207/2017/05)

今月の記事
◆おたふくかぜを防ごう
 〜まれではない、深刻な合併症

◆地域ではやっている病気  

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◆おたふくかぜを防ごう
〜まれではない、深刻な合併症

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)ワクチンの接種をお勧めすると、「小さいうちにかかって免疫をつけた方がいいと思って」というお答えが返ってくることがあります。しかし、おたふくかぜは時に合併症を起こすことがあり、無菌性髄膜炎(1〜10%)が代表です。
命にかかわることは稀でも、他にも深刻な合併症があるので、ぜひ知っていただきたいのです。

<まれではない、ムンプス難聴>
おたふくかぜの深刻な合併症に、「ムンプス難聴」があります。
日本での発生頻度は、今まで1000〜4000人に1人とされていましたが、最近の研究では数百人に1人との報告もあり、決して稀ではないことがわかってきました。
私は印西市の母子保健と就学指導の委員をしていますが、聴覚障害のため就学や就職、家庭生活に様々な困難をお持ちの方を知るにつけ、防げる難聴は減らしたいとの思いを強くしています。

<ムンプス難聴の特徴>
ほとんどが片側性で、稀に両側性もあります。聴神経が障害される感音性難聴です。
ムンプス難聴が重大なのは、難聴の程度が高度なこと、治療法がないため治らないこと、小児の難聴の原因の多くを占めていることです。特に乳幼児期にかかると、言語獲得の時機を失うことがあります。
難聴は耳下腺あるいは顎下腺が腫脹する4日前から18日以内に発症しますので、当院ではおたふくかぜの治癒判定のときに耳のそばで指をすり合わせて(指こすり法)聴力を確認しています。
ときには難聴を疑うケースがあって、耳鼻科に紹介することがあります。

その他の合併症としては、男性のムンプス患者の20〜25%が精巣炎を発症し、生殖機能が低下することがありやはり治療法はありません。
このように身近な感染症ですが、治らない重大な合併症があることを知っていただきたいと思います。

<予防接種がただひとつの予防手段>
おたふくかぜワクチンの有効性は世界中で認められており、2012年現在120カ国で定期接種(麻疹・風疹・おたふくかぜの混合ワクチン)となっています。
多くの国で、2回接種が標準です。
日本での接種率は自費(任意)接種のため、30%と低迷しており、流行が繰り返されています。
定期接種になっていないため、重要性が低いと考えられがちですが、単に制度が追いついていないだけで、他のワクチンより必要性が低いわけではありません。

1歳なったら、麻疹、水痘ワクチンと合わせて、おたふくかぜワクチンの接種をお勧めします。

<予防接種の受け方は?>
2回接種が必要です。
推奨スケジュールは、
初回接種:1歳、MR(麻疹・風疹)・水痘・ヒブ・肺炎球菌などと同時接種
追加接種:就学前のMRワクチンと同時接種

ただし、追加接種は感染リスクが高い場合(集団生活など)は、就学前を待たずに行ってもよいでしょう。
また年齢制限がないので、何歳でも(おとなになってからでも)接種できます。
必要性やスケジュールについて、わからないことがありましたらご相談ください。

◆地域ではやっている病気
インフルエンザはピークを越えた後終息に向かうかにみえましたが、その後なかなか収まらずに、新学期に入ってふたたび増える傾向がみえ、季節外れの学級閉鎖になったところもありました。
連休明けは疲れが出たり、生活リズムをくずしやすい時期でもありますので、睡眠をしっかり取るなど、大人も子どども体調管理に気をつけたいですね。

◆ちび鉛筆
気持ちのよい季節になりました/この地域は広々した公園や自然に親しむエリアが多く/連休中はショッピングセンターなどでもイベントがたくさん/楽しかったことをおしえてくださいね (T)


posted by kuyama at 07:48| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする