2017年07月01日

小児科だより7月号(No209/2017/07)

今月の記事
◆食物アレルギー予防 最前線

◆地域ではやっている病気  

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◆食物アレルギー予防 最前線

日本を含めた先進国ではアレルギーの病気が増えていますが、中でも最も増加しているのが食物アレルギーです。最近の研究でこれまでの「常識」が大きく変わりましたので、ご紹介します。

<これまではどんな考え方だったの?>
アトピー性皮膚炎は食物アレルギーが原因、と思っている方は多いのではないでしょうか?
以前は、アトピー性皮膚炎の治療のためにはアレルギー検査をして、陽性の食物を除去するということが行われていました。
食物アレルギーは食べるのが原因で起こる(経口感作)、と考えられていましたので、予防のために離乳食を遅らせたり、母親(妊娠中・授乳中)にも卵や牛乳の摂取を控えてもらったりしていました。
(残念ながら今でも、旧来の考え方に基づいた指導を行っている医療機関があります)

<早期に食べたから、アレルギーになったのではない>
一番大きく変わったことは、原因となる経路が先に述べた経口感作ではなく「経皮感作」(食べ物が皮膚から侵入して感作される)と考える点です。
つまり、湿疹などでバリア機能が低下した皮膚に、食べ物が付着し体内に取り込まれて感作(それを身体が抗原とみなすこと)される、ということです。

そう考える理由は、
・早期に離乳食を開始する方が食物アレルギーが少ない
・アレルゲンを食べることが有効なことがある
 (「経口免疫寛容」といいます)
・乳児の湿疹を治療すると食物アレルギーが減少する
ということがわかってきたからです。

<経口免疫寛容(けいこうめんえきかんよう)とは?>
消化器はもともと異物を体に取り込むための経路ですから、アレルギーを起こすのを防ぐメカニズムが備わっており、これを「経口免疫寛容」といいます。
そのため、強いアレルギー反応を起こさない程度にアレルゲンを食べ続け、免疫寛容を誘導する治療(食べて治す)が行われるようになっています。
一方、皮膚の経路にはその働きがないために経皮感作が起こる、と考えられるようになりました。

<アトピー性皮膚炎は、結果ではなく原因>
皮膚のバリア機能が低下したところから、食物が入り込んで感作をおこし、アレルギーになる。
つまり、「口から食べたことによる食物アレルギーが原因で、アトピー性皮膚炎が結果」と考えられてきたのは逆で、現在では「アトピー性皮膚炎が原因で、食物アレルギーが結果」と考えられるようになり、具体的なメカニズムの研究も進んでいます。

さらに、アレルギーが増えている要因として、免疫が育つ3歳位までの環境が清潔過ぎると、免疫の育ちが悪くなって、免疫の変調であるアレルギーを起こしやすくなることもわかってきました(衛生仮説)。
汚れることや感染を怖がりすぎないこともアレルギー予防には大切なのです。

<食物アレルギーを予防するには?>

・乳児期のスキンケア、湿疹をきちんと治療する
・離乳食を遅らさない
・過度に清潔にしない

<大切! 乳児期からのスキンケア>
3つの予防法の中で現在一番有効とされるのが、乳児期のスキンケアと湿疹をしっかり治療することです。
ミルクや母乳からの感作もあるので、生後すぐから気をつけます。
口の周りや顎〜首周りは食べ物が付着しやすいので、特に手入れが大切です。
荒れた肌には保湿剤が基本ですが、時にステロイドを使用することもあります。
スキンケアだけでよくならない場合はご相談ください。


◆地域ではやっている病気 

全体に感染症は少ない時期でしたが、幼稚園や保育園で胃腸炎がやや増加傾向にありました。
これから夏に向かっては、咽頭結膜熱(プール熱)やヘルパンギーナなど、いわゆる夏カゼウイルスによる感染症が増えてきます。
高熱が出ますが、重くなることはほとんどありません。


◆ちび鉛筆

東関東では雨の少ない6月でした/今後のお天気が気になります/日本脳炎、おたふくワクチンの入荷は//何とか間に合って休止の事態は免れている状況です/引き続き確保に努めます (T)

posted by kuyama at 12:28| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする