2017年08月31日

小児科だより9月号(No211/2017/09)

今月の記事
◆薬や検査は必要最小限に
〜適正な医療には、患者さんと医療者の協力が大切

◆地域ではやっている病気  

〜〜
◆薬や検査は必要最小限に
〜適正な医療には、患者さんと医療者の協力が大切

医療が進歩し、いろいろな薬や治療法、検査法が開発されて、10年、20前とは医療の風景が変わったといっても言い過ぎではありません。
こうした治療や検査が安易に、また過剰に行われることで、副作用や医療費の高騰が社会問題となり、わが国でも「医療の適正化」が大きな課題になっています。
これを小児科外来の現場でどうとらえるのか、私たちにできることは何か、ご一緒に考えてみましょう。

<どんなことが問題なの?>
適正な医療とは、必要かつ最小限の医療のことです。
その理由は2つあります。
1つは医療費の問題です。
医療の進歩や高齢化によって医療費が高騰し続け、医療保険制度を将来も維持するために、国の医療費の見直しがさらに必要となりました。
もう1つは副作用などの害です。
医療が高度化してプラスにもマイナスにも強く作用するようになった結果、必要最小限の見極めがいっそう重要になっています。

<小児科外来でもらう薬はどうなの?>
子どもの病気で一番多いのは呼吸器感染症(カゼ)。
以前は(もしかして今でも)抗生剤や咳止めなどを判で押したように処方した時代がありました。
抗生剤は、乱用の結果、抗生剤の効かない「耐性菌」が増えて世界中で問題になっています。
しかも、カゼや熱の原因の大部分は、抗生剤の効かないウイルスによるものです。
厚労省や医学会は「抗微生物薬適正使用の手引き」を作成して、原則カゼには抗生剤を使わない方針を打ち出しています。
また咳止め(鎮咳剤)は、病原体を追い出す咳の働きを弱めて肺炎を起こしやすくするマイナス面がありますので、「咳は止めず出して治す」ことが最近特に勧められるようになりました。
私も、ここ10年以上抗生剤や鎮咳剤の適応を絞ってあまり使用していませんが、治療上の問題を感じたことはありません。
患者さんも、最初は抵抗を感じる方がおられましたが、今ではほとんどの方が受け入れてくださいます。

<小児科で行う検査はどうですか?>
「診断の7割は診察でつく」と言われています。
経験のある医師は、問診や診察を丁寧に行い、考え、必要最小限の検査を選択し、正しい診断を導きます。
検査は重要ですが、そのコストと、患者さんに手間と苦痛を与えることを忘れてはなりません。
特にレントゲンとCTについては、放射線の影響を考え、頭部打撲やけいれんなどのガイドラインで適応を絞ることが普及してきました。
頭部打撲では意識障害がない限り、被曝量の多いCTは行わない方針になっています。

<医療を受ける側にできることはあるの?>
「せっかく受診したので、薬をください」という方もおられますが、100%安全な薬はなく、不要な咳止めや下痢止めのように、薬を飲むことで回復が遅れることすらあります。
疑問があれば医師によく聞いて、不要な薬や検査を求めないことです。

また、その受診は本当に必要か?という問題もあります。
特に治療を要しない状況もあります。
ただ、これは小児科では難しいことかもしれませんので、例えば、夜間の受診は昼間に比べ高コストですから、救急以外は通常の時間帯に受診しましょう。
迷う時には、「子どもの救急」サイト(日本小児科学会監修、症状をクリックするだけで適切な対応がわかります)で調べたり、小児救急電話相談(#8000)を利用することも、大きな助けになります。
子ども医療費は自己負担が少ないので、コスト意識が働きにくいですが、窓口で払う何倍もの金額が、皆さまが支払う保険料や税金でまかなわれています。
1人1人の心がけが大切なのです。


◆地域ではやっている病気 

8月は、夏カゼウイルスによる感染症がみられました。
特に手足口病が保育園などで流行しています。
また、毎年冬になると多くなるRSウイルス感染症が、今年は夏からみられており、8/21〜26の1週間当院では12名の診断をしました。2歳までにほぼ100%がかかる、ありふれた感染症ですが、特に乳児期早期にかかると、重くなることがあるので注意が必要です。特効薬はなく、対症療法で経過をみます。


◆ちび鉛筆

夏休みはいかがお過ごしでしたか/大人も子どもも夏の疲れが残るこの時期/早めに生活リズムを整えたいですね/夜は虫の声も聞こえてきました/残暑ももう少しの辛抱、だとよいのですが(T)

posted by kuyama at 23:32| カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする