2017年09月30日

小児科だより10月号(No212/2017/10)

今月の記事
◆運動を楽しむ習慣は一生の財産
〜発達に合わせた取り組みを

◆地域ではやっている病気  

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◆運動を楽しむ習慣は一生の財産
〜発達に合わせた取り組みを

スポーツの秋。ふだん運動に縁がなくてもちょっと散歩してみようかなどと、身体を動かしてみたくなります。
私は犬の散歩が唯一の運動習慣なので、あまりえらそうなことは言えないのですが、子どもの心身の発達と運動について、少々専門的な話ではありますが、書いてみようと思います。

<小学生の運動能力は低下傾向>
国が行っている運動能力調査では、種目にもよりますが大まかにみて、昭和60年ごろをピークとして全般に低下傾向にあります。外遊びの心配や、塾やおけいこ通いの低年齢化など、子どもが運動する習慣や機会が減っていることが理由としてあげられます。
昭和60年ごろ子ども時代を過ごしたのは、ちょうど今の子どもたちのお母さん、お父さん世代ですが、外で遊んだ記憶はどうですか?
だいぶ状況が違っている気がしますね。

<子ども時代の運動習慣が大切なのはどうして?>
1)子ども時代の「好き!」は一生続く財産
子どもの頃に運動が好きだった人は、一生運動好きになる傾向があることがわかっています。大人になってからより子どもの時に運動習慣をスタートする方が、運動好きになりやすいのです。

2)子ども時代に、動作や運動の記憶ができる
スムーズな日常生活活動には、汎用性(広く応用の効く)動作が小さい頃に記憶されておくことが必要です。
これを「動作記憶」と言い、幼児期から小学校低学年(7歳くらい)までに形成されます。
この時期までに遊びなどを通していろいろな運動をして、身体の使い方を身につける、というわけです。

3)骨密度は中学生までに出来上がる
高齢になると心配される「骨粗鬆(そしょう)症」、カルシウムを摂りましょうと言われますね。
実は、骨密度は思春期までに形成されて、以降は増えることはありません。若い時をピークとして、あとは低下するのみです。
したがって、中・高年になって対策を取ろうとしても、残念ながら減少を遅らすことしかできません。
運動による骨の刺激は骨密度を増やします。
特に女性は骨密度が男性より低いので、中学生までに運動に親しむことが大切です。

<発達に合わせた運動とは?>
運動は神経系と運動系(筋・腱、軟骨、骨)の協働によって行われます。
神経系の発達は早く、10歳頃に成人並みの重量になります。
運動系の発達はもっと遅くて、ぐっと身長が伸びる「成長スパート期」は、女児10〜11歳、男児12〜13歳です。
このスパート期以降に強い運動に適応できるようになり、激しい運動に耐えられるようになるのは、最終的に身長の伸びが止まってからです。
身体が出来上がる前に、無理な運動をすると、スポーツ障害(野球肘、テニス肘など)を起こすことがあります。
クラブ活動なども、発達に合わせ無理をさせないことが、長い目で必要なことです。

<小さい子どもの運動はどうしたらいいの?>
このおたよりの主な読者は、乳幼児や小学校低学年の親御さんですから、その時期のお話をしましょう。
「動作記憶」のところでご説明したように、この時期は、あらゆる動きの土台を作る神経の発達の時期です。
スポーツというよりは、遊びの中で多様な運動動作ができるようにします。関節や靭帯が未熟なので、運動器への強い負担を避けることが大切です。
いろいろな動作の遊び、マット運動、体操などを通して、しなやかな動き、素早い動きなどを経験すること、何より身体を動かすことは楽しい、という経験をさせてあげましょう。

<思春期以降のこと>
思春期は、重量挙げなどの過重な運動は避けた方がよく、特定の関節に負担のかかる運動は規定回数を守る必要があります。男女差もあるので、そこを意識する必要もあります。
成人期は、全開期です。でも軟骨組織は修復反応が乏しく生涯の変化を残しますので、休息による保護は必要です。

先進国では「競技スポーツ層」、「日常的健康スポーツを行う層」、「運動不足の層」の3層に分かれます。
みんなが競技者にならなくても、子どもの頃から運動を楽しみ、健康的な生活を送れるようにしたいですね。


◆地域ではやっている病気  

8月から流行していた手足口病は、減少してきました。
毎年冬になると多くなるRSウイルス感染症が、今年は夏からみられていますが、9月に入っても保育園などを中心に流行が続いています。先月も書きましたが、2歳までにほぼ100%がかかる、ありふれた感染症ですが、特に乳児期早期にかかると、重くなることがあるので注意が必要です。
特効薬はなく、対症療法で経過をみます。


◆ちび鉛筆

連休に懸案の家の片付けをしました/多量の本や衣類や段ボールなどに/ご近所には「引越し?!」と思われたかも/分別も細かく時間はかかりましたが/すっきり秋晴れのような気分になりました(T)
posted by kuyama at 09:27| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする