2018年04月28日

小児科だより05月号(No219/2018/05)

今月の記事
◆子どもにもある「慢性の痛み」

◆地域ではやっている病気  

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◆子どもにもある「慢性の痛み」

皆さまは今、どこか痛いところがありますか?
身体のどこかが少しでも痛んでいると、辛いものですね。
小さいお子さんの診療でも、いろんな痛みを訴えられることがあります。

今月は「痛み」、特に慢性化する痛みについて考えてみましょう。

<「痛み」は警戒警報!>
歯の治療の後、麻酔で麻痺していることを忘れていて、口の中を強く噛んでしまうことがあります。
同じように、痛みを感じないと、私たちは身体のあちこちに知らないうちにケガをしてしまうでしょう。
また、感染症などでのどや頭やお腹が痛くならないと、その病気に気づかないかもしれません。

このように、痛みはケガや危険を回避するため必要なもので、生きて行くためになくてはならない大切な「警戒警報」です。
痛みを感じる神経が全身に張りめぐらされ、脳にそれを教えてくれているのです。

<いろいろな「痛み」>
しかしこのしくみは複雑で、話はそう単純ではありません。
けがなどで急性に痛みが起こった場合、多くはそれが治ると痛みもなくなります。(「炎症性」の痛み)
ところが、これが反復・持続すると、脊髄の神経細胞に変化(=感作)をきたし痛みが慢性化します。これを「神経障害性」の痛みといいます。
こうしたメカニズムで起こる慢性的な頭痛や腰痛、関節痛などはなかなか厄介ですが、さらに長期化した結果、人間関係の悪化で持病の頭痛がひどくなる、わずかな刺激でも痛みが増強する、痛みを和らげるホルモンが低下するなど、より複雑化して難治性になることがあります。
ちなみに、こんな痛みはご存知ですか?
けがや病気で切断して、もうないはずの手や足が、痛い。

これは「幻肢(げんし)痛」とよばれ、まだ詳しくは解明されていませんが、脳が痛みを感じるメカニズムについて多くの示唆を与えているそうです。

<子どもの慢性痛>
さて慢性痛というと、片頭痛などの頭痛、腰痛、膝関節痛、四十(五十)肩など、大人の病気というイメージですね。
しかし、子どもにも大人と同じように慢性痛があることがわかってきました。
子どもに比較的多いのは、片頭痛と成長痛で、思春期になると、大人と同様な慢性痛も加わるようになります。
片頭痛は中学生の4.8%にあり、子どもでも稀ではありません。成長痛は子ども特有の慢性痛で、足が夜間に痛むものです。片頭痛や繰り返す嘔吐(アセトン血性嘔吐症)と同じメカニズムで起こることがわかってきています。

<慢性痛を防ぐには?>
急性から移行する慢性痛(腰痛、膝関節痛など)は、「急性期のうちに治す」が治療の基本です。
一度慢性化してしまうと、慢性化の絡まった網をほぐして治すのは時間と手間がかかるうえ、完治しないことも多くなるためです。
生活に差し支えるような痛みが1〜2週間以上続くときは、隠れた病気がないかを確認するためにも、痛む箇所を専門にする医療機関を受診しましょう。

<慢性化してしまったら?>
そのメカニズムを取り除くのが治療の基本です。
○規則正しい日常生活

○運動
痛みに慣れさせる、血行を良くする、拘縮を予防する、などの効果があります。ただし、痛みが強い場合は医師に相談してください。

○痛み以外のことに集中して注意をそらす

○笑う、楽しいことをする
痛みを抑えるホルモンを増やし、痛みへの集中を減らす効果があります。遊ぶ、美味しいものを食べる、動物と触れ合う、などは有効です。

○薬物治療
上記の生活の対処と併用が基本です。
一番用いられる薬は鎮痛剤です。天候により悪化する場合は、抗ヒスタミン薬も有効です。偏頭痛にはトリプタン製剤も使用します。これら3剤とも痛みの予兆や開始直後に服用するのが効果的です。
頑固な痛みには、神経障害性疼痛薬(プレガバリン)や漢方薬が用いられることがあります。

○痛みのない状態を続ける
上の方法をいくつか組み合わせて痛みのない状態をしばらく続けると、慢性化の神経回路が休眠によって働かなくなって良くなってきます。

より複雑化して、行動パターンの歪み、予期不安や対人恐怖などの精神症状が加わるなど、生活に深刻な影響を及ぼす場合は、「認知行動療法」などのアプローチを考慮しますが、日本では一部の医療機関に限られています。


◆地域ではやっている病気

4月中旬に溶連菌感染症がやや見られましたが、全体に感染症は少なく、外来は落ち着いていました。
これからの時期は、気候が不安定であり、新学期の疲れが出る時期でもあって、体調を崩すお子さんがみられます。
生活リズムを保って、しっかり睡眠をとるようにしましょう。


◆ちび鉛筆

魔法の粉がどっさり降ったように/一度に花が咲き乱れた4月でした/お向かいにご近所さま待望のショッピングモールが開店/スタッフもさっそく昼休みに/セール品をGETしていました/車の出入りが多くなっているので/ご来院の際はどうぞお気をつけて(T)
posted by kuyama at 12:24| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする