2018年06月04日

小児科だより06月号(No220/2018/06)

今月の記事
◆「麻疹流行」から学ぶこと

◆地域ではやっている病気  

〜〜◆「麻疹流行」から学ぶこと

この春、沖縄で台湾からの旅行者から麻疹が広がり、ゴールデンウィーク後の全国的な流行も心配されていました。
5月下旬現在、さらなる感染拡大の様相はなさそうですが、ご自身にかかわる問題として、この話題を受け止められた方も多いのではないでしょうか。

<麻疹が広がりやすい世代とは?>
50代以上は子どもの頃にかかって免疫を持っている方が多い世代です。
一方、若い世代の感染を防ぐにはワクチンの2回接種が必要ですが、MRワクチンの2回接種(1歳と就学前)が制度として始まったのは2006年度からです。
2回目を中学高校で接種する経過措置もとられましたが、2回接種ができていない、不徹底な世代があります。
今年1月以降の麻疹患者総数149名中20〜40歳代の方が69%を占めています(5月23日現在)。

麻疹は、これまでかかったことがなく、ワクチン接種が少なく(0、1回)、接触機会の多い世代を中心に流行するのです。

<親御さんも、ご自身の接種歴の確認を!>
当院を受診される親御さんの多くが、この年代に該当されます。
ご自身の母子手帳を確認なさってみてください。
2回接種を済ませていない方は、この機会に接種を強くお勧めします。特に1歳未満のMRワクチン接種をしていない赤ちゃんの親御さんはぜひお受けください。
当院では、申し訳有りませんが現状では小児のみを対象としていますので、内科などでご相談ください。
一部でワクチンの不足により接種しにくい状況がありますが、予約できるのを待って接種をしましょう。

<次の流行への備えを>
今回は台湾からの旅行者が流行のきっかけでした。これが沈静化したら、もう安心してよいでしょうか?
2016年に関西空港を利用した人を発端に流行が広がったことを、覚えておられる方も多いでしょう。
このように、日本への渡航者が増え続け、日本からも流行地への往来が珍しくない昨今、今後もこうした流行は必ず繰り返されます。
成田空港、ディズニーランドのある千葉県は、海外からの観光客も多い地域です。空港と都心を結ぶ北総線もあり、常に感染リスクがあると考えてよいでしょう。
こうした状況を受けて、企業や学校の中には、リスク管理の一環として社員や学生・職員のワクチン接種歴を確認し接種を勧めるところも増えているようです。


お子さんの定期接種はもちろん、接種が必要な大人の方も、今回の流行が収まったとしても安心せず、次の流行に備えるつもりで、できるだけ早い機会に接種しておくことをお勧めします。

<流行性耳下腺炎もワクチンで防ぎたい>
さて、麻疹とは別の話題になりますが、感染症予防に関連して流行性耳下腺炎(ムンプス)にも目を向けていただきたくとりあげてみます。
現在放送されているNHKの朝ドラで、ムンプス罹患後に難聴となった主人公が登場します。
ムンプスは比較的軽くすむ場合が多いのですが、髄膜炎やまれに脳炎を起こします。難聴も、かつてごくまれな後遺症と考えられていましたが、その後の調査によって約千人に1人、さらには300人に1人とする研究もあります。この難聴は一生治ることはありません。

ムンプスワクチンは生ワクチンで、現在は任意接種(自費)ですが、当院ではここ数年、MRワクチンと合わせて同時接種をする方が増えています。
「ワクチンで予防できる感染症(VPD)」への意識の高まりや、おそらく低年齢での集団保育の増加も背景としてあるのでしょう。
朝ドラの影響もあってか、今年5月は昨年に比べ1.5倍ほどの方が接種されています。

なお、日本では1988年〜1993年の間、麻疹風疹と合わせて3種混合(MMR)ワクチンとして定期接種されていましたが、副作用の問題で中止になった経緯があります。
現在世界の多くの国で定期接種されており、日本でも再開が検討されています。


◆地域ではやっている病気

5月前半感染症は少なかったのですが、後半になって溶連菌感染症、咽頭結膜熱(プール熱)などが増えてきました。
どちらもこの時期になると流行してくる感染症です。
他に、夏カゼウイルスの手足口病やヘルパンギーナなども例年増えてきます。
高熱時は水分をしっかり摂りましょう。


◆ちび鉛筆

冬は乾燥でスキンケアですが/夏にはあせもや虫さされ/とびひ(伝染性膿痂疹)もやっかいです/洗い流すなど清潔を心がけ/掻きむしると悪化しますので/お子さんの爪を時々みてあげましょう(T)
posted by kuyama at 08:46| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする