2018年10月06日

気になる子どもの「長引く咳」

印刷版のくやま小児科だよりは2018年8月号をもって終了しました。
今後は不定期に、ブログから情報発信いたします。

<くやま小児科だよりNo224/2018/10>

秋は長引く咳や喘息の多くなる季節です。
咳は、病原体や異物を身体の外に出そうとする生体の防御反応ですが、長引く咳は気になるものですね。


<どのくらい続くと「長引く咳」なの?>

医学的には、3週間以上を言います。長いと感じられる方が多いのではないでしょうか?
3週間にしたのは、一番ありふれたカゼの咳では2週間くらい続くことははよくあるからです。
1週間たっても咳が治らないので、喘息や悪い病気ではと心配される方がおられますが、カゼの経過では実はよくあることです。


<長引く子どもの咳 年齢ごとに原因は違う>

どの年齢でも一番多い原因は、長引いたり繰り返すカゼです。
それ以外では喘息を考える方が多いと思いますが、子どもでは喘息以外に気をつける病気が他にもあります。 
小児の咳の特徴は、年齢によって原因が違うことです。

年齢ごとにどんな病気があるか、みてみましょう。

・1歳前 :長引くカゼ、百日咳、RSウィルス感染症、気管支軟化症、気管支の先天性の病気 
・1〜3歳:長引くカゼ、百日咳、RSウィルス感染症、喘息、気道異物(誤飲)、受動喫煙
・4歳以上:長引くカゼ、喘息、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎(後鼻漏)、マイコプラズマ感染症、クラミドフィラ(クラミジア)感染症、胃食道逆流、受動喫煙
 
年齢ごとの特徴     
・1歳前 :喘息はめったにない。気管支(気道)の病気が多い。
・1〜3歳:RSウィルス感染症は乳幼児がかかると重い。気道異物(ピーナッツや紙などをのどや鼻の穴に詰まらせる)は意外に多い。
・4歳以上:喘息、鼻の病気、胃食道逆流など、大人と同じ病気が多くなる。

他に、年長児になると、アトピー咳嗽(がいそう)や心因性咳嗽が見られます(1%くらい)。


<ゼーゼーしたら喘息? 乳児の喘息はめったにない!>

喘息は、乳幼児では過剰に診断されすぎている病気の代表です。
乳幼児では、ゼーゼーや長引く咳はカゼや気管支炎やRSウィルス感染症などで起こるので、ゼーゼーしていてもたいていは喘息以外が原因です。
喘息が発症してくるのは、2〜3歳以上です。
乳幼児の気管支軟化症、気道異物、百日咳は見逃されやすい病気の代表で、当院でもときどき見つけます。
アレルギー専門団体は、過剰診断を防ぐために、喘鳴(ゼーゼー)は3回は繰り返した後ではじめて診断するよう提言しています。
当院では、ゼーゼーや長期の咳は、喘息だけでなくいろいろの病気を考えて、慎重に検査や治療を行っています。


<意外に多い、鼻の病気>

副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、後鼻漏(鼻汁がのどの奥に垂れて咳き込む)はよくある咳の原因で、じつは小児科ではありふれた病気で、根気よく治療していきます。


<見逃してはいけない、気道異物>

多くはないですが、2〜4歳にときどきある気道異物は、ピーナッツを食べてむせた後に多いです。
他には、ガラス玉や紙などを飲み込んだり鼻の穴につめるなどで、放置すると危険です。
ナッツは5歳くらいまで与えないようにしてください。
私もときに見つけて、ハッとすることがあります。
他には、結核、1歳前の気管支の先天性の病気などがあります。  


<咳は止めた方がよい?>

咳は、気道から病原体、痰、異物などを除去する防御反応です。
止めない方が良いというのが原則で、止めた方が良い場合はクループなど例外的なものだけです。
咳止めとして風邪薬を希望される方もおられますが、当院では原則として咳を出させる去痰剤(ムコダイン、ムコソルバンなど)だけを処方します。


<カゼの咳はいつまで続いたら受診するの?>

長いと感じられるかもしれませんが、カゼをひいて咳が2週間くらい続くのは普通です。
寝苦しいなど日常生活の影響がなければ、医師が長いと判断する3週間くらいまでは様子を見てよいでしょう。


<気をつける咳とは?>

生活に問題がでる、特徴的な咳と呼吸苦、咳以外の気になる症状がある、がポイントです。
次に挙げるものがありましたら、すぐ受診を考慮ください。

・日常生活や睡眠に問題が出る
・ぐったり、夜間眠れない、日常生活(食事、会話など)に障害が出る
・特徴的な咳・呼吸苦
クループ(声がれ、喉の痛そうな咳:犬が吠えるよう、オットセイの鳴き声のよう)、喘鳴(ゼーゼー)、呼吸苦(肩呼吸、胸の陥没する呼吸、顔色が悪い、苦しがる)

・咳以外の症状がある
高熱、水分や食事が取れない、頭痛、胸痛

判断に迷われる場合は、いつでも受診してください。
こんなときは様子をみて大丈夫なんだな、と、だんだんわかるようになってきますよ。


*咳きこむときのケア*

乾燥の季節では、加湿器を使うなどして部屋を適度な湿度に保ちましょう。
痰を出しやすくするため、水分を取りましょう。
寝ているとき咳こむ場合は、少しずつ水を飲ませたり、上半身を起こすと呼吸が楽で痰も出やすいです。
受動喫煙は論外です。喫煙する家族の方は、配慮してください。
posted by kuyama at 09:34| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする