2019年03月11日

花粉症の新しい治療 <くやま小児科だよりNo229/2019/03>

この春も、多くの花粉症の患者さんが来院されています。
年々発症が低年齢化しているように思います。

今回は、来シーズンに備えてこれからできる治療のお話です。
花粉のシーズンが終わって(6〜12月)から開始します。

花粉症は、以前は症状を緩和する対症療法(抗ヒスタミン剤、ステロイド、点眼薬、点鼻薬)だけでしたが、2014年から「舌下免疫療法」という新しい治療法が保険適用になりました。
免疫療法というのは、アレルギーの原因である「アレルゲン」を少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法です。
具体的には、アレルゲンのエキスを舌の下に垂らしてから服用、その量を少しずつ増やしていきます。

現在、この治療法でスギ花粉症、ダニアレルギーの治療が可能ですが、ここではスギ花粉症のお話を中心に進めます。

なお当院では、この治療を行うのは原則として気管支喘息で当院で定期治療を行っている方で、アレルギー性鼻炎・結膜炎を併発している方に限らせていただいています。(ダニアレルギーの治療も行っています。)
その他の方は、この地域にも耳鼻科をはじめとして舌下免疫療法を行っている医療機関が複数ありますので、ご希望の方は鳥居薬品のサイトから検索してみてください。

スギ花粉症の舌下免疫療法のご説明>>

シダトレン、シダキュアの2種類があります。

<治療の対象となる方>
シダトレン:12歳以上、シダキュア:原則5歳以上
中等症〜重度で薬物治療が必要で、改善を希望される方。特に目を掻く場合は適応になります。

<治療方法>
治療開始は、花粉症の時期が終わってから(6〜12月)になります。
スギ花粉エキスを少量から舌の下に垂らし、決められた時間保持した後飲み込む、という苦痛のない方法ですが、これを毎日、治療期間は3〜5年となります。

<治療効果>
症状が軽くなる割合:約80%、根治の割合:約20%
全員が治るわけではありません。
効果が出るまでの期間:3週間〜3年。
人により様々で、次のシーズンに効果が出ることも多いですが、2〜3年目から効果が出る場合があります。

<副作用は大丈夫?>
アレルゲンを服用するので、口の中の腫れやのどのかゆみなどが出ます。
しかし、ほとんどが軽症で、治療が続けれられないことは稀です。
重症のアレルギー(アナフィラキシー)は、非常に稀(100万回に5.4回)です。
症状を観察しながら、慎重に量を増やしていきます。


Q&A
根治の可能性があってご検討いただく価値のある治療法と考えておりますが、躊躇される方も多いと思います。
皆様からよくいただくご質問をQ&Aの形でご説明いたします。

Q.適応はどの程度の症状ですか?
A.薬がいらない程度なら必要ありません。生活に支障のある方が適応です。

Q.治療を受けられない人はいますか?
A.妊娠している人、重い免疫の病気、強いアレルギー(重い喘息など)は受けられません。

Q.治療に3年以上かかるのは長すぎませんか?
A.確かに長いですが、人生の残りの期間(子供ですと70年以上も!)アレルギーが続くことと比較してみてはいかがでしょうか。
しかし、時間や費用、根気が必要なことは確かですので、治療開始前にはその点をよく考える必要はあるでしょう。

Q.治療を続けられる自信がありません。
A.数年間継続するのが難しいと言う方もよくおられます。治療が続けられないならば、できる機会を待ってからで良いでしょう。

Q.副反応が原則出るというのは危険ではないですか?
A.減感作療法は、免疫反応を起こしてアレルギーを和らげる(免疫寛容)ものです。当院でも軽いアレルギー反応は普通にあります。しかし、アナフィラキシーなどの強い副反応はごく稀であり、医療機関で慎重に確認しながら行えば、現実にはご心配することはほぼない程度です。

Q.副反応が出たら、続けられないですか?
A.副反応が強くて続けられない方が当院でもたまにおられますが、ほとんどの方は続けられます。副反応は最初の1〜2ヶ月を乗り切ればほとんどの場合消失します。

Q.根治が20%と少なすぎませんか?
A.根治は少ないですが、80%の方が軽くなります。当院でも薬を減らしたり、いらなくなる方も多くおられます。これだけでも大きな効果と考えられます。

Q.スギとダニ2つの舌下免疫治療を、同時にできますか?
A.同時にできます。1つで始めて、安定してからもう1つを加えます。

Q.複数の花粉症にかかっています。ダニやスギだけ治療しても効果がないのでは?
A.スギとダニだけの方に比べると、効果は少なくなります。当院でのお勧めはケースバイケースです。でも全体のアレルギー体質を和らげる効果がありますので、御相談の上行うことがあります。


posted by kuyama at 08:00| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする