2019年08月23日

おたふくかぜによる難聴を防ぎたい <くやま小児科だよりNo233/2019/08>

おたふくかぜによる難聴を防ぎたい 〜MRとの同時接種でワクチンを

おたふくかぜの深刻な合併症に、「ムンプス難聴」があります。
昨年の朝ドラ「半分、青い。」の主人公がこのために片耳が難聴になったことで、認知度が高まりました。
これからことばを獲得するお子さんがかかると、その後の発達に重大な影響を及ぼします。
おたふくかぜワクチンは、日本ではまだ定期接種になっていませんが、接種をおすすめしたい大切なワクチンです。
先進国では、ムンプス難聴はほとんどみられません。

<まれではない、ムンプス難聴>
日本での発生頻度は、今まで1000〜4000人に1人とされていましたが、最近の研究では数百人に1人との報告もあり、決して稀ではないことがわかってきました。

<ムンプス難聴の特徴>
ほとんどが片側性で、稀に両側性もあります。聴神経が障害される感音性難聴です。
ムンプス難聴が重大なのは、難聴の程度が高度なこと、治療法がないため治らないこと、小児の難聴の原因の多くを占めていることです。特に乳幼児期にかかると、ことばを獲得する時機を失うことがあります。
不顕性感染といって、典型的な症状がなかったために感染に気づかず、発見が遅れることもあります。

<その他の合併症>
男性のムンプス患者の20〜25%が精巣炎を発症し、生殖機能が低下することがありやはり治療法はありません。
身近な感染症ですが、このように治らない重大な合併症があることを知っていただきたいと思います。

<ワクチンがただひとつの予防手段>
おたふくかぜワクチンの有効性は世界中で認められており、2015年現在121カ国で定期接種(麻疹・風疹・おたふくかぜの混合ワクチン)となっています。
日本では定期接種になっていないため、重要性が低いと考えられがちですが、制度が追いついていないだけで、決して他のワクチンより必要性が低いわけではありません。

<当院での接種状況>
日本全体では30-40%と言われていますが、今の小さいお子さんはどうなのでしょうか。
当院では、1歳になったらすぐにMR、水痘、ヒブなどとの同時接種をおすすめしていますので、MR(印西市の定期接種対象者の接種率は99%)の接種数に対するおたふくの割合を調べたところ、2018年度は83%という数字でした。おおざっぱな数字ではありますが、当院を利用する多くの親御さんが、接種をしてくださっていると思います。
水痘やB型肝炎が定期接種となり、経済的に受けやすくなったことや、最近の「ワクチンで防げる感染症」に対する親御さんの意識の高まりもあるかもしれませんね。

<予防接種の受け方は?>
より確実な予防のためには、2回接種が必要です。
オススメのスケジュールは、
初回接種:1歳、MR(麻疹・風疹)・水痘・ヒブ・肺炎球菌などと同時接種
追加接種:就学前のMRワクチンと同時接種
ただし、追加接種は感染リスクが高い場合(集団生活など)は、就学前を待たずに行ってもよいでしょう。
また年齢制限がないので、何歳でも(おとなになってからでも)接種できます。

必要性やスケジュールなどについて、ご心配や疑問点がありましたらご相談ください。
posted by kuyama at 13:45| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする