2020年10月05日

「おねしょ」と「おもらし」<くやま小児科だよりNo242/2020/10>

今月は「遺尿症」(いにょうしょう)のお話です。
「遺尿症」とは、子どもの尿失禁のことで、夜尿症(おねしょ)と昼間遺尿症(おもらし)があります。
トイレットトレーニングが終了した通常5歳以上に、尿失禁が1ヶ月に2回以上おこるのが診断基準です。
小児では珍しくありませんが、相談が恥ずかしくて、ほとんどの人が自分一人で抱えています。
今回の説明が受診のきっかけとなれば幸いです。
当院では火曜日午前中に腎臓専門医の森医師が遺尿症の診療も行っていますので、よろしければご活用ください。

<夜尿症について>
5歳以上で1ヶ月に1回以上が3ヶ月以上続く。とくに1週間に4日以上を頻回といいます。

・どのくらいの子どもにみられるの?
幼稚園児は20〜30%、小学校1年生は10%、中学1年生では数%です。

・どうして夜尿になるの?
身体が発育してくると、睡眠中の抗利尿ホルモンと自律神経の働きが成熟して、排尿間隔が伸びてきます。
3〜4歳になる頃には、排尿間隔は昼が3〜4時間、睡眠中は9〜10時間となります。でもこの働きの発育には個人差があるので、成熟に時間がかかる人もいるのが夜尿の理由です。またタンパク質と塩分の取りすぎも原因になります。
しかしこれ以外に、稀に腎泌尿器疾患や脊髄疾患や内分泌疾患などが隠れていることがありますので、検査で確認することがあります。

・夜尿症の多くは自然に治る?
ほとんどの夜尿症は発育の未熟が理由なので、年齢が上がるとほとんどの方は消失します。自然消失率は1年に15〜17%です。
当院では、小学校入学前は自然消失が多いことと社会生活の問題が少ないため、治療は小学生以上からとしています。

・治療法は?
1)生活指導
自然に治るのが一般なので、生活指導が基本です。
就寝3時間前の水分制限
夜間にトイレに起こさない
塩分と牛乳の制限

2)アラーム
夜尿するとアラームがなるセンサーをパンツにつける方法です。効果が高く、再発率が少ない特徴があります。

3)抗利尿ホルモン
抗利尿ホルモンを点鼻します。治療効果はやはり高く、アラームと並ぶ標準治療です。

・治療の効果は?
治療によって自然消失の2〜3倍治癒率を高め、治癒までの期間も短縮します。
それでも数年かかることが多いので、あきらめず治療を続ける必要があります。


<昼間遺尿症について>
5歳以上1カ月に2回以上をいいます。男児より女児に多いですが、頻度はよくわかっていません。
昼間遺尿症はメカニズムがよくわからないことが多く、なかには情緒や精神面が影響している場合もあるようです。

・どんな症状なの?
1)切迫症状型
トイレが間に合わないで漏らすタイプです。
2) 排尿中断型
おしっこの最中に中断するタイプです。
3)排尿回数減少型
子どもの日中の排尿回数は6回くらいが平均ですが、はるかに少ないタイプです。


・治療法は?
タイプによって治療法が異なりますが、次のようなものがあります。
1)十分な水分の摂取
2)時間を決めてトイレに行く
3)便秘を治す
4)薬物療法:抗コリン薬、交感神経抑制剤(アルファ・ブロッカー)

これらの治療法を組み合わせて、家族と本人と医療機関が根気よく協力して治療してゆきます。
お子さんの気持ちを前向きに明るく保つことも大切です。
posted by kuyama at 13:45| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする