2019年08月23日

おたふくかぜによる難聴を防ぎたい <くやま小児科だよりNo233/2019/08>

おたふくかぜによる難聴を防ぎたい 〜MRとの同時接種でワクチンを

おたふくかぜの深刻な合併症に、「ムンプス難聴」があります。
昨年の朝ドラ「半分、青い。」の主人公がこのために片耳が難聴になったことで、認知度が高まりました。
これからことばを獲得するお子さんがかかると、その後の発達に重大な影響を及ぼします。
おたふくかぜワクチンは、日本ではまだ定期接種になっていませんが、接種をおすすめしたい大切なワクチンです。
先進国では、ムンプス難聴はほとんどみられません。

<まれではない、ムンプス難聴>
日本での発生頻度は、今まで1000〜4000人に1人とされていましたが、最近の研究では数百人に1人との報告もあり、決して稀ではないことがわかってきました。

<ムンプス難聴の特徴>
ほとんどが片側性で、稀に両側性もあります。聴神経が障害される感音性難聴です。
ムンプス難聴が重大なのは、難聴の程度が高度なこと、治療法がないため治らないこと、小児の難聴の原因の多くを占めていることです。特に乳幼児期にかかると、ことばを獲得する時機を失うことがあります。
不顕性感染といって、典型的な症状がなかったために感染に気づかず、発見が遅れることもあります。

<その他の合併症>
男性のムンプス患者の20〜25%が精巣炎を発症し、生殖機能が低下することがありやはり治療法はありません。
身近な感染症ですが、このように治らない重大な合併症があることを知っていただきたいと思います。

<ワクチンがただひとつの予防手段>
おたふくかぜワクチンの有効性は世界中で認められており、2015年現在121カ国で定期接種(麻疹・風疹・おたふくかぜの混合ワクチン)となっています。
日本では定期接種になっていないため、重要性が低いと考えられがちですが、制度が追いついていないだけで、決して他のワクチンより必要性が低いわけではありません。

<当院での接種状況>
日本全体では30-40%と言われていますが、今の小さいお子さんはどうなのでしょうか。
当院では、1歳になったらすぐにMR、水痘、ヒブなどとの同時接種をおすすめしていますので、MR(印西市の定期接種対象者の接種率は99%)の接種数に対するおたふくの割合を調べたところ、2018年度は83%という数字でした。おおざっぱな数字ではありますが、当院を利用する多くの親御さんが、接種をしてくださっていると思います。
水痘やB型肝炎が定期接種となり、経済的に受けやすくなったことや、最近の「ワクチンで防げる感染症」に対する親御さんの意識の高まりもあるかもしれませんね。

<予防接種の受け方は?>
より確実な予防のためには、2回接種が必要です。
オススメのスケジュールは、
初回接種:1歳、MR(麻疹・風疹)・水痘・ヒブ・肺炎球菌などと同時接種
追加接種:就学前のMRワクチンと同時接種
ただし、追加接種は感染リスクが高い場合(集団生活など)は、就学前を待たずに行ってもよいでしょう。
また年齢制限がないので、何歳でも(おとなになってからでも)接種できます。

必要性やスケジュールなどについて、ご心配や疑問点がありましたらご相談ください。
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2019年06月24日

夏カゼがはやってきました <くやま小児科だよりNo232/2019/06>

保育園などで手足口病が目立ってきました。ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱なども出てきています。
これらは「夏カゼ」とも呼ばれる感染症で、コクサッキーウイルス、エンテロウイルス(手足口病、ヘルパンギーナ)、アデノウイルス(咽頭結膜熱)などが原因です。
夏カゼは、高熱が出ても期間は短く、軽くすむことが多いです。
典型的には、40度くらいの熱が1〜2日ですぐ下がり、咳や鼻汁がなく、手足や口や身体にぶつぶつができる、というものです。
感染しても症状が出ない(不顕性感染)ことや、熱だけ出る、などそれと気付きにくいパターンも多いです。
代表的な3つの感染症について、ご説明します。

<手足口病>
感染経路:飛沫感染、接触感染、経口感染
潜伏期間: 3〜5日
症状:手、足、口、おしりに水泡が出ます。
熱は出ることも出ないこともあり、咳や鼻汁や下痢もたいていありません。
発疹は一部だけ、身体全体と様々で、へルパンギーナやウィルス性発疹症と区別がつかないことがあります。

<ヘルパンギーナ>
感染経路:飛沫感染、接触感染、経口感染
潜伏期間:2〜4日
症状:突然の高熱が1〜3日続き、口内炎を作ります。咳や鼻汁や下痢はありません。
口内炎ができて初めて診断されますが、熱から1〜2日遅れることが多いので診断されないことも多いです。
後から手足口病に変わることもよくあります。

<咽頭結膜熱(プール熱)>
感染経路:飛沫感染、接触感染
潜伏期間:5〜7日
症状:発熱・咽頭炎・結膜炎を3主症状とし、リンパ節の腫れ、腹痛、下痢がみられることもあります。

<どんなことに気をつける?>
基本的には軽い病気で、特効薬もないので、症状に合わせたケアで回復を促します。
高熱であれば涼しくして、脱水に気をつけますが、口の中の痛みが強い時は、水分を取りにくいので気をつけます。
食事は、柔らかく、刺激の少ない味付けのものにしましょう。

<夏カゼに隔離は必要ですか?>
夏カゼは見つかりにくい(不顕性感染)、症状が消えても感染力はしばらく残るため、隔離しても感染を防げません。
したがって、ほとんどの園や学校では隔離されず、治癒証明書も必要ありません。
当院でも園からとくに指定されない場合は、元気になったら集団生活はかまわないとお伝えしています。
2歳くらいまでに誰でも感染を経験する病気ですから、お互い様と考えましょう。

★感染症と登園登校の届出については こちら
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2019年05月17日

感染症と登園登校の届出のお話 <くやま小児科だよりNo231/2019/05>

ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか。
休み明けは、しばらく学校などでの感染症は少ないのですが、これからの季節は溶連菌感染症や夏カゼなど、増えてまいります。
そこで、新学期でもありますので、感染症から回復して集団生活可能となった場合に園や学校から求められる、「意見書」や「登園届」などについて、当院の対応をご説明します。

◆園や学校の感染症予防
園や学校は集団生活の場ですから、感染予防は大切です。
そこで、学校保健安全法というものがあり、出席停止や臨時休業などについて定められています。
保育園は学校ではありませんが、厚生労働省のガイドラインにはこの法令に準じて対策するように書かれています。

保育所における感染症対策ガイドライン 厚生労働省


ここには、意見書などについて、以下のように書かれています。
『子どもの病状が回復し、集団生活に支障がないという診断は、身体症状、その他の検査結果等を総合的に勘案し、診察に当たった医師が医学的知見に基づいて行うものです。罹患した子どもが登園を再開する際の取扱いについては、個々の保育所で決めるのではなく、子どもの負担や医療機関の状況も考慮して、市区町村の支援の下、地域の医療機関、地区医師会・都道府県医師会、学校等と協議して決めることが大切になります。この協議の結果、疾患の種類に応じて、「意見書(医師が記入)」又は「登園届(保護者が記入)」を保護者から保育所に提出するという取扱いをすることが考えられます。なお、「意見書」及び「登園届」については、一律に作成・提出が必要となるものではありませんが、協議の結果、「意見書」及び「登園届」の作成・提出が必要となった場合には、事前に保護者に十分周知することが重要です。』

◆印西市の公立保育園の場合
医師の診察を受けて集団生活に支障がないとする医師による「意見書」が必要な感染症として、麻疹、風疹、水痘、おたふくかぜ、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎、百日咳などをあげています。
その中に、インフルエンザは入っていません。インフルエンザの場合は、「インフルエンザ登園届」を保護者が記入することになっています。
また、先に紹介した厚生労働省のガイドラインにより、溶連菌感染症、マイコプラズマ感染症、手足口病、りんご病、ウイルス性胃腸炎(ノロ、ロタ含む)、ヘルパンギーナ、RSウイルス感染症、帯状疱疹、突発性発疹は、登園のめやすが定められており、医師による意見書は必要ないことになっています。
当院は、これらに準じた考え方で、対応しています。

◆医師の意見書が必要ない感染症、その理由は?
必要がない理由は以下の通りです。

1)不顕性感染が多い。
感染していても症状がなく診断されない人が多い病気で、症状がある人だけを隔離しても感染を防ぐことはできません。

2)乳幼児期にほぼ全員がかかる感染症。
マイコプラズマ感染症、RSウイルス感染症、ウイルス性胃腸炎など。

3)症状が消失してからも長く感染力が残るもの。

以上の理由から、症状の消失をもって集団生活に復帰とすることは、感染症の拡大を防ぐ目的では医学的な意味がありません。

◆独自に基準を設けている施設の場合
私立の園などでは、それぞれの実情や管理者の考え方により、ガイドラインに定められていない感染症に対しても、医師による意見書や「治癒証明書」を求められることがあるようです。
当院としては、先に述べたように医学的には必要はないと考えますが、書類は発行いたします。
その場合は、診察予約をせずに、診療時間内(水曜日は除く)に指定の書類を持って直接窓口におこしください。
ただし、お子さんのその後の病状でご心配やご相談がある場合は、通常通りご予約の上来院してください。

なお当院では、意見書は文書料として500円(税込)を申し受けています。

お子さんの病気と集団生活に関して、わからないことやご心配がありましたら、受診の際にお尋ねください。

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2019年04月14日

「授乳・離乳の支援ガイド」2019年版について<くやま小児科だよりNo230/2019/04>

新学期が始まりました。ご入園ご入学、そして進級された皆さん、おめでとうございます。
喜びの中にもちょっぴり緊張もある季節。小児科の窓からも、エールを送っています。

さてこの3月、「授乳・離乳の支援ガイド」2019年改訂版なるものが厚労省より発表されました。
「新ガイドで母乳神話はなくなるのか」などとネット上でも話題になり、関心をもった方もいるかもしれませんね。
ここでは、その中から母乳育児を取り上げ、小児科医の立場から考えてみたいと思います。

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2019年03月11日

花粉症の新しい治療 <くやま小児科だよりNo229/2019/03>

この春も、多くの花粉症の患者さんが来院されています。
年々発症が低年齢化しているように思います。

今回は、来シーズンに備えてこれからできる治療のお話です。
花粉のシーズンが終わって(6〜12月)から開始します。

花粉症は、以前は症状を緩和する対症療法(抗ヒスタミン剤、ステロイド、点眼薬、点鼻薬)だけでしたが、2014年から「舌下免疫療法」という新しい治療法が保険適用になりました。
免疫療法というのは、アレルギーの原因である「アレルゲン」を少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法です。
具体的には、アレルゲンのエキスを舌の下に垂らしてから服用、その量を少しずつ増やしていきます。

現在、この治療法でスギ花粉症、ダニアレルギーの治療が可能ですが、ここではスギ花粉症のお話を中心に進めます。

なお当院では、この治療を行うのは原則として気管支喘息で当院で定期治療を行っている方で、アレルギー性鼻炎・結膜炎を併発している方に限らせていただいています。(ダニアレルギーの治療も行っています。)
その他の方は、この地域にも耳鼻科をはじめとして舌下免疫療法を行っている医療機関が複数ありますので、ご希望の方は鳥居薬品のサイトから検索してみてください。

スギ花粉症の舌下免疫療法のご説明>>

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2019年02月18日

アンケートご報告 <くやま小児科だよりNo228/2019/02>

少しずつ、春の気配が感じられる今日この頃です。
インフルエンザも、下火になってきました。

昨年末、予防接種の予約システム「主治医ドットコム」の自動サービスを利用して、アドレス登録されている方にアンケートをお送りいたしました。
455名の方からご回答をいただきました。
98%が女性で、お母さんが主に予約をしてくださっているようです。
お忙しい中、ご意見やメッセージを寄せてくださった方も多く、心より感謝申し上げます。

主な結果は、以下の通りでした。

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2019年01月15日

インフルエンザが流行しています <くやま小児科だよりNo227/2019/01>

お正月はいかがお過ごしでしたか。
あらためまして、本年もよろしくお願い申し上げます。

さて、インフルエンザのシーズンです。
立ち上がりが早かった昨シーズンより遅いペースですが、今年も本格的な流行期に入りました。
この1、2週間がピークになると思われます。

<予防>
体調管理(十分な休息睡眠、バランスのよい食事など)に気をつけ、手洗いの励行や人ごみを避けるなど、心がけてください。

<かかってしまったら>
水分補給、しっかり休むこと(睡眠、安静)が大切です。

<治療>
抗ウイルス薬(内服、吸入、点滴)、漢方薬、症状を和らげる薬などがありますが、必ず必要というわけではなく、年齢や症状に合わせてご相談の上処方します。
一番の治療はおうちでの養生(水分補給や睡眠)で、免疫力を助けることです。

<咳エチケットなど>
インフルエンザでも高熱が出ない軽い病状の方もいて、気づかずに人にうつすこともあるので、咳が出るときはマスクする、口に手を当てて咳をしたら手洗いをするなど、感染予防の一般的な注意も大切です。

<異常行動に注意!>
抗ウイルス薬の種類や服用の有無によらず、異常行動が報告されています。
少なくとも発熱から2日間は注意が必要です。
多くは軽度の熱せん妄(うわごと、突然泣き出す、大声を出す)などですが、時に突然走り出す、飛び降りようとするなどの危険行動が現れることがあります。
玄関や窓に鍵をかける、1階やベランダに面していない部屋で寝かせるなどの対策をしましょう。

厚労省「インフルエンザの患者さん、ご家族、周囲の方々へ」

参考
厚生労働省のインフルエンザQ&A
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2018年12月17日

年末年始の病気で困ったときは <くやま小児科だよりNo226/2018/12>

はや今年も残りわずか、慌ただしい毎日をお過ごしのことと思います。
寒さが本格的になり、インフルエンザも出てきました。
年末年始はクリニックの多くは休診となりますので、お子さんの夜間休日の受診について、おさらいしておきましょう。

小児救急電話相談(#8000)

医療機関にすぐに受診させた方が良いか迷われたとき、ご相談ください。
専門の研修を受けた看護師、医師が対応します。

◎毎日 午後7時から翌午前6時まで

【電話番号】
プッシュ回線の固定電話・携帯電話からは、局番なしの#8000
ダイヤル回線、IP電話、光電話、銚子市からは 043(242)9939

◎重症の場合は迷わず「119」へ!

印旛市郡小児初期急病診療所
(休日・夜間・年末年始)
佐倉市江原台2-27 健康管理センター内
043-485-3355

◆生後6ヶ月未満は早めの対応を!
この月齢で発熱や嘔吐などがあるときは、早めに問い合わせや受診をしましょう。

こどもの救急(ONLINE-QQ)
気になる症状をクリックしていくと、受診の目安がわかります。
また、どう対応したらよいかや、症状別のお家でのケアの仕方がわかって便利ですよ。
(厚生労働省、日本小児科学会監修)

◆ホームケアを知って安心
当院のホームページでもご紹介しているので、参考になさってください。

*印刷版のくやま小児科だよりは2018年8月号をもって終了しました。
 今後は不定期に、ブログから情報発信いたします。


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2018年11月19日

当院の人気絵本?

*印刷版のくやま小児科だよりは2018年8月号をもって終了しました。
 今後は不定期に、ブログから情報発信いたします。

<くやま小児科だよりNo225/2018/11>

本日は軽いお話を。

お子さんの、お気に入り絵本はなんですか?

スマホのゲームがはやっても、子どもたちはやっぱり絵本が大好き。
当院にも、開業以来いろいろな絵本を選んで置いています。

お目当の本があって、たまたま入れ替えで本棚にないとき、がっかりされてしまうことも。
人気の定番になっていそうな本は、欠かさないように気をつけています。

ひとつの目安は、絵本の傷み具合だと思います。

小さいお子さんには、親御さんが読んであげることが多いので、あまり傷まない。
男の子が夢中になる本は傷みやすい。

などの法則はありそうですが・・・

当院の、絵本の傷み具合ランキング。

・植物や動物のずかん
・のんたんシリーズ
・かいけつゾロリシリーズ
・恐竜、古代生物、サメ関係(院長も大大大好き)
・ギネスブック

そしてやはり一番なのは、鉄道関係でしょうか。

最近では、

「最新版 電車大集合1922点」講談社

「乗りもの 鉄道・自動車・飛行機・船 」〔改訂版〕 (小学館の図鑑 NEO)

がよく読まれていたようです。
他にもいろいろ出版されているので、子鉄ちゃん的に「これはずしちゃダメでしょう!」みたいなもの、もちろん鉄道以外でも、リクエストがあれば、教えて下さいね。

待合室は慌ただしいので、じっくりストーリーを追うものよりも、眺めて楽しむものが人気のようです。
もうすぐクリスマスなので、サンタさんの絵本もそろそろ出さなくては、、、。


他にも、、
あまり目にしない絵本、大人もしみじみする本、絵だけでも楽しい本もあります。
ぜひお手にとってみてください。
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2018年10月06日

気になる子どもの「長引く咳」

印刷版のくやま小児科だよりは2018年8月号をもって終了しました。
今後は不定期に、ブログから情報発信いたします。

<くやま小児科だよりNo224/2018/10>

秋は長引く咳や喘息の多くなる季節です。
咳は、病原体や異物を身体の外に出そうとする生体の防御反応ですが、長引く咳は気になるものですね。


<どのくらい続くと「長引く咳」なの?>

医学的には、3週間以上を言います。長いと感じられる方が多いのではないでしょうか?
3週間にしたのは、一番ありふれたカゼの咳では2週間くらい続くことははよくあるからです。
1週間たっても咳が治らないので、喘息や悪い病気ではと心配される方がおられますが、カゼの経過では実はよくあることです。


<長引く子どもの咳 年齢ごとに原因は違う>

どの年齢でも一番多い原因は、長引いたり繰り返すカゼです。
それ以外では喘息を考える方が多いと思いますが、子どもでは喘息以外に気をつける病気が他にもあります。 
小児の咳の特徴は、年齢によって原因が違うことです。

年齢ごとにどんな病気があるか、みてみましょう。

・1歳前 :長引くカゼ、百日咳、RSウィルス感染症、気管支軟化症、気管支の先天性の病気 
・1〜3歳:長引くカゼ、百日咳、RSウィルス感染症、喘息、気道異物(誤飲)、受動喫煙
・4歳以上:長引くカゼ、喘息、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎(後鼻漏)、マイコプラズマ感染症、クラミドフィラ(クラミジア)感染症、胃食道逆流、受動喫煙
 
年齢ごとの特徴     
・1歳前 :喘息はめったにない。気管支(気道)の病気が多い。
・1〜3歳:RSウィルス感染症は乳幼児がかかると重い。気道異物(ピーナッツや紙などをのどや鼻の穴に詰まらせる)は意外に多い。
・4歳以上:喘息、鼻の病気、胃食道逆流など、大人と同じ病気が多くなる。

他に、年長児になると、アトピー咳嗽(がいそう)や心因性咳嗽が見られます(1%くらい)。


<ゼーゼーしたら喘息? 乳児の喘息はめったにない!>

喘息は、乳幼児では過剰に診断されすぎている病気の代表です。
乳幼児では、ゼーゼーや長引く咳はカゼや気管支炎やRSウィルス感染症などで起こるので、ゼーゼーしていてもたいていは喘息以外が原因です。
喘息が発症してくるのは、2〜3歳以上です。
乳幼児の気管支軟化症、気道異物、百日咳は見逃されやすい病気の代表で、当院でもときどき見つけます。
アレルギー専門団体は、過剰診断を防ぐために、喘鳴(ゼーゼー)は3回は繰り返した後ではじめて診断するよう提言しています。
当院では、ゼーゼーや長期の咳は、喘息だけでなくいろいろの病気を考えて、慎重に検査や治療を行っています。


<意外に多い、鼻の病気>

副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、後鼻漏(鼻汁がのどの奥に垂れて咳き込む)はよくある咳の原因で、じつは小児科ではありふれた病気で、根気よく治療していきます。


<見逃してはいけない、気道異物>

多くはないですが、2〜4歳にときどきある気道異物は、ピーナッツを食べてむせた後に多いです。
他には、ガラス玉や紙などを飲み込んだり鼻の穴につめるなどで、放置すると危険です。
ナッツは5歳くらいまで与えないようにしてください。
私もときに見つけて、ハッとすることがあります。
他には、結核、1歳前の気管支の先天性の病気などがあります。  


<咳は止めた方がよい?>

咳は、気道から病原体、痰、異物などを除去する防御反応です。
止めない方が良いというのが原則で、止めた方が良い場合はクループなど例外的なものだけです。
咳止めとして風邪薬を希望される方もおられますが、当院では原則として咳を出させる去痰剤(ムコダイン、ムコソルバンなど)だけを処方します。


<カゼの咳はいつまで続いたら受診するの?>

長いと感じられるかもしれませんが、カゼをひいて咳が2週間くらい続くのは普通です。
寝苦しいなど日常生活の影響がなければ、医師が長いと判断する3週間くらいまでは様子を見てよいでしょう。


<気をつける咳とは?>

生活に問題がでる、特徴的な咳と呼吸苦、咳以外の気になる症状がある、がポイントです。
次に挙げるものがありましたら、すぐ受診を考慮ください。

・日常生活や睡眠に問題が出る
・ぐったり、夜間眠れない、日常生活(食事、会話など)に障害が出る
・特徴的な咳・呼吸苦
クループ(声がれ、喉の痛そうな咳:犬が吠えるよう、オットセイの鳴き声のよう)、喘鳴(ゼーゼー)、呼吸苦(肩呼吸、胸の陥没する呼吸、顔色が悪い、苦しがる)

・咳以外の症状がある
高熱、水分や食事が取れない、頭痛、胸痛

判断に迷われる場合は、いつでも受診してください。
こんなときは様子をみて大丈夫なんだな、と、だんだんわかるようになってきますよ。


*咳きこむときのケア*

乾燥の季節では、加湿器を使うなどして部屋を適度な湿度に保ちましょう。
痰を出しやすくするため、水分を取りましょう。
寝ているとき咳こむ場合は、少しずつ水を飲ませたり、上半身を起こすと呼吸が楽で痰も出やすいです。
受動喫煙は論外です。喫煙する家族の方は、配慮してください。
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2018年09月10日

日本外来小児科学会年次集会に参加してきました(09/10)

今月より「くやま小児科だより」(ブログ版)として、不定期になりますがお届けします。
※「院長コラム」とお知らせしていましたが、「小児科だより」の名称で続けていきます。

<くやま小児科だよりNo223/2018/09>

2018年8月25日、東京国際フォーラムで「第28回日本外来小児科学会年次集会」が開かれました。
毎年夏に、外来小児科にかかわる医療関係者が職種をこえて集まる大きな集会です。
年次集会公式サイト
https://web.apollon.nta.co.jp/sagpj28/

当院は過去13回、職員研修を兼ねて参加を重ねています。
医師以外の多職種のための講演も多数あり、スタッフ共々日頃の業務の確認をしたり、改善点を考える機会になりました。

最近の小児科外来ではどんなことが話題になっているのかな?
ちょっと興味がわきませんか?

抄録集やスタッフのレポートから、一部内容をまとめてみました。

<小児歯科から学ぼう〜離乳食から睡眠時無呼吸症候群まで>
最近は口唇や口腔周囲筋の発達が未熟な子どもが多くなっているそうです。
その判定としては、
口呼吸、お口ぽか〜ん、ブクブクうがい・ガラガラうがいがうまくできない、食べ方が変、風船をふくらませない、口笛ができない、など。

これは丸呑みや構音障害、噛み合わせの異常、口呼吸などにも関連し、生涯の健康に影響を及ぼします。
適切な時期に正常な口腔機能を獲得することが大切で、離乳食も「この月齢だからこの固さ」でなく、お子さんの発育に合わせて、口唇が使えているか、噛んで飲み込めているかを確認しながら進めていってほしいとのことでした。

<思春期:ネット・スマホ依存>
立ち見が出るほどの関心の高さでした。
当院でもご相談を受けて紹介をさせていただく、国立病院機構久里浜医療センターの医師による講演。
重症では、生活や学校などの日常活動より何よりゲームが優先し、昼夜逆転、ひきこもり、親への暴力、家族のお金を盗んだりカードを無断で使用する、退学や退職に至るなどの大きな問題に発展してしまいます。
精神障害との合併も多く見られます。

治療は外来カウンセリング、デイケア、キャンプ、入院治療など。

治療の基本的な考え方として、
医師は親の代弁者にはならない。
本人のネット使用を外からコントロールしようとしても困難である。
本人が自分の意志で行動を変えていくように援助する。
ネットとうまく付き合う方法を一緒に考える。
認知行動療法を用いる。
ゲームのアカウントを本人自身の手で消去できたら、卒業となる。

などを挙げられていました。

家族のためのプログラムもあり、診察予約待機中も誰でも参加できるそうです。

その他、
・インフルエンザ脳症〜最近の知見より
・軽度外傷の初期診療
・川崎病の新しい話題
・接種率をどう上げるか? 日本の任意接種ワクチン
・子どものくつ
・日本の医療の進む道〜沈みゆく大国アメリカ

など、新しい知見や考え方を知るよい機会となりました。

研修のため、1日休診をいただきました。
ご協力ありがとうございました。
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2018年08月03日

小児科だより08月号(No222/2018/08)

「くやま小児科だより」の印刷版は、今号で最終号とさせていただきます。

☆今後は、医院ブログの「コラム」で情報発信いたします!☆

2000年3月から毎月発行してきましたが、この222号をもって終了することといたしました。
院内に設置したスタンドから、印刷した「たより」をお持ちになる方は少なくなりました。
スマートフォンやパソコンの普及で、ほぼ100%の方が当院のネット上の予約ステーションを利用され、そこから当院からのお知らせをチェックしていただいています。
今後はブログ上の「コラム」で、字数にこだわらず、タイムリーに情報発信していければと考えています。
これまでお読みいただき、ありがとうございました。


今月の記事
◆あなたは大丈夫?
 〜子育て世代のワクチンのお話

◆地域ではやっている病気  

〜〜

続きを読む
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2018年07月02日

小児科だより07月号(No221/2018/07)

今月の記事
◆小児科開業医のしごと

◆地域ではやっている病気  

〜〜続きを読む
posted by kuyama at 00:00| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月04日

小児科だより06月号(No220/2018/06)

今月の記事
◆「麻疹流行」から学ぶこと

◆地域ではやっている病気  

〜〜続きを読む
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2018年04月28日

小児科だより05月号(No219/2018/05)

今月の記事
◆子どもにもある「慢性の痛み」

◆地域ではやっている病気  

〜〜
続きを読む
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2018年03月31日

小児科だより04月号(No218/2018/04)

今月の記事
◆集団生活と感染症

◆地域ではやっている病気  

〜〜
続きを読む
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2018年02月27日

小児科だより03月号(No217/2018/03)

今月の記事
◆子どもの心の病気
〜気になること、まずはご相談を

◆地域ではやっている病気  

〜〜
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posted by kuyama at 13:50| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月01日

小児科だより02月号(No216/2018/02)

今月の記事
◆子どもの花粉症
〜早めの対処と花粉を浴びない工夫を!

◆地域ではやっている病気  

〜〜
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posted by kuyama at 08:53| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月29日

小児科だより01月号(No215/2018/01)

今月の記事
◆インフルエンザのおはなし
〜今シーズンも早めの流行期入り

◆地域ではやっている病気  

〜〜
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posted by kuyama at 19:26| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月04日

小児科だより12月号(No214/2017/12)

今月の記事
◆子どもの「くせ」のお話
〜気になるあのくせ、直したほうがいいの?

◆地域ではやっている病気  

〜〜
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posted by kuyama at 08:56| くやま小児科だより・ブログ版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする